BL小説(TIGER&BUNNY編2)

□【虎兎】2人でずっと
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「帰って2時間後に迎えに行くからな!」

出勤を終えた僕たちはトランスポーターに乗り込んでアンダースーツで疲れた身体を休めていた。
そんな時、虎徹さんが脈絡もなく僕に言い出した。

「・・・は?」
「だ〜か〜ら〜!今から帰って2時間後にお前ん宅に迎えに行くから出掛ける用意して待ってろ!」
「…いや、それは分かりましたけど・・・なんですか急に?」
「明日は2人休みにして貰ったからデートしようぜ?」

と下手くそなウインクをする虎徹さん。
デートという言葉に僕は思わず顔が熱くなる。

「・・・明日は取材が入ってなかったです?」
「それ、明後日に回して貰ったから大丈夫!」
「どうして?!」
「いいじゃねぇか。それとも何?俺と出掛けるの嫌か?」

・・・そんな風に言われたら何も言えないじゃないか・・・

「嫌じゃないです・・・嬉しいです・・・」

視線を逸らして答えると虎徹さんの大きな手が僕の頭を優しく撫でた。


先に降ろして貰った僕は虎徹さんがくる前にシャワーを浴びた。

久しぶりのデート。
それだけで心が躍る。
2人揃っての休みなんていつぶりだろう?
一ヶ月は立ってるかもしれない。
そう思ったら早く彼に会いたくなった。
後少しで会えるというのに・・・

シャワーを浴びながら僕は心なしかいつもより丁寧に身体を洗った。



2時間後。
言った通りに虎徹さんが家に来た。

「え?」

迎えに来た虎徹さんはいつもの格好ではなく、ダークなスーツに着替えている。
その姿にドキッとした。

「行こうか、バニー?」

差し出される手に僕は黙って手を重ねる。
そのまま僕をエスコートし、駐車場へと歩いた。
助手席に促されて乗り込むと虎徹さんも運転席へ。
どこか緊張した面持ちで息を吐いてからエンジンをかけスタートさせた。

「・・・どうしたんです?様子がおかしいですよ?」
「・・・ん・・・まぁな・・・」

・・・なんだろ?・・・デートだっていうのに上の空だ・・・

虎徹さんの様子がおかしいと感じた僕だけど、せっかくのデートなんだと思い直して外の景色を見つめた。

しばらく走ってると見慣れた風景が目に入る。

・・・この先には・・・

「あ、の・・・虎徹さん?一体どこへ・・・?」
「お前の両親の墓。」
「・・・え?」

・・・やっぱり・・・この先には僕の両親の墓がある。
でも・・・何故?

不思議に思って虎徹さんの横顔を見た。
そこにはどこか照れたような、それでいて慈しむような優しい顔があった。

「・・・この時期は"お盆"と言って亡くなった人たちが家族の元に帰ってくるって言われてんだ。つってもお盆ちょっ過ぎちまったけどな?」
「・・・"オボン"」
「だからな?お前の父ちゃんと母ちゃんにちゃんと挨拶したかったんだよ・・・」

虎徹さんの手が僕の頭を撫でる。

「・・・虎徹さん。」

僕は恥ずかしくて、でも嬉しくて小さく笑った。



両親が眠る墓。
そこに虎徹さんはお花を添えて膝をついた。
両手を合わせて目を閉じてから決意したように顔を上げる。

「バニーの・・・バーナビーのお父さん、お母さん・・・初めまして。俺は貴方たちの息子さんの相棒で、鏑木・T・虎徹と言います。
 今日は改めてお二人に挨拶をさせて貰いたくて来ました。」

お墓の前で膝をついている虎徹さんの後ろに立って様子を伺った。
すると、

「・・・俺はバーナビーさんを愛しています。こんなおじさんで子持ちですがバーナビーさんを想う気持ちは誰にも負けません。
 親として許されないとは思います。俺も親ですから・・・でも、俺はこれからの人生をバーナビーと共に生きていきたいと思っています。」

お墓に向かって真剣な顔で話す虎徹さん。

・・・これじゃあまるでプロポーズだ・・・

僕は虎徹さんの話を聞いて涙が流れた。

嬉しい・・・貴方も僕と同じ事を想っていてくれた・・・
それが何より嬉しい・・・

「・・・虎徹、さん・・・」

泣きながら愛しい人の名前を呼ぶ。
彼はゆっくりと振り向いて目を細めて笑う。

「・・・だからバーナビー・・・俺と結婚してくれる?」

答えなんて決まってる・・・

僕は虎徹さんに思いっきり抱きつく。
そのまま倒れこんだ虎徹さんは僕の身体をきつくきつく抱きしめくれた。



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