BL小説(TIGER&BUNNY編2)

□☆【虎兎】貴方の隣にいさせて
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僕に"相棒"なんかいらない。
4歳から今までずっと1人で生きてきた。
誰の助けもいらない。
あの時からずっと心を失くして復讐の事だけ考えて生きてきた。
人を寄せ付けず、近くに寄ってくる者は相手にしない。
そうする事で自然と離れていったから。

なのに・・・あのおじさんはそんな僕に近づいてきた。
どれだけ冷たくあしらっても懲りずに僕の隣に近づいた。


・・・よく考えればあんなに冷たく人と接した事がない。
嫌悪感丸出しにしてなどスマートでスタイリッシュな僕のスタイルには合わないからだ。
なのにあの人には何故か初めから感情を出して接してしまった。


「バニーちゃん、飯食った?」

「ちゃんと寝てんのバニーちゃん?」

「バニーちゃん・・・ソレ疲れねぇ?」

人の事をバニーちゃんとふざけた呼び方で呼んで、どれだけ否定しても呼び続けて腹が立って仕方がない。

イライラする・・・そのはずなのに僕はいつの間にかその呼び名に慣れてしまった。
慣れるどころかあの人から呼ばれる事が心地いいとさえ思ってしまった。
それが自分の中で分かった時、閉ざされた心の扉が開いて中から何か暖かいものが溢れた。


「バニーちゃん、飯食いに行こうぜ?」

ずっと断り続けているのにまたおじさんは僕を誘う。
どれだけ学習能力がないんだ?と呆れるけれど、この人の誘いを待ってしまっている僕がいた。

「・・・仕方がないですね・・・」

僕は初めておじさんの誘いを受けた。
僕の返事を聞いたおじさんはとても嬉しそうに笑っている。

・・・何がそんなに嬉しいんだか・・・

小さなため息をつき、おじさんを見た。
そして、少しだけ笑った。


それからというもの、事あるごとにおじさんは僕を誘った。
やはり一度誘いに乗ったのがいけなかったのか?
僕にはやらなければならない事がある。
両親を殺した犯人を見つけ復讐するという…

…でも、おじさんから誘われると心が温かくなるから…
ごめん…父さん、母さん…



「バニーってさ〜、趣味とかねぇの?」

「は?」

「だ〜か〜ら〜、趣味とかねぇのかって?」

若いんだから趣味とか持ってもっと遊ばなきゃ、とか言いながら食事の後のお酒を飲んでいる。
その飲み方は普段の騒がしい彼のものとは違い、どこか落ち着いた雰囲気を醸し出している。

「…特にないですけど…おじさんは?」

「ん?」

「趣味。ないんですか?」

「そ〜だな〜…」

カランとグラスを傾け、頬づえをつく。
その仕草にドキリと胸が鳴った。

「やっぱ人助けかな〜?」

「……それは趣味ではなく、仕事です」

「そうだけどな!」

ニカッと笑うおじさんの笑顔は眩しくて…僕は目を細めるしか出来なかった。



あんなおじさんにドキッとしてしまうなんて…
僕は一体どうしてしまったんだ…?

最近の僕はおかしいんだ。
時折見せる彼の笑顔に胸が高鳴る。
ドキドキするのに心の中に暖かいものが流れ込んでくる。
彼の言動、仕草に…

なんなんだ?
どうしてこの僕があんなおじさんに…?

僕はそんな事している場合じゃないんだ。
両親を殺した犯人を見つけなければならないんだ…!






「…どうして…?」

あの人の事を考えると僕の身体に異変が起こった。
ゆるりと起ち上がったそれは僕をはしたないと言っているようだ。

「…止めろ…」

ベッドに潜り込み気を静めるように目を閉じた。

「…何故…あの人なんかに…」

彼の顔を思い出すだけで静めようとしたそれが僕の気持ちに反して起き上がる。

「…くそっ…」

これは吐き出すしかない。

仕方なくアンダーウェアの中に手を滑りこませ触れるとクチュリとイヤラシイ音が鳴った。

「…んんっ…」

すでに先が濡れてしまっていた。
ソッと握って、親指の腹で撫でる。

…気持ちイイ…

強く握り込むとドクリと脈を打っていた。
ゆっくりと僕は握っている手を上下に動かし始めた。
扱いている手をそのままに、もう片方の手を胸元へ…

「…んふっ…ふぅっ…」

すでに起ってしまった小さな蕾。
そこをクリクリと捏ねたり、摘まんだりするとどうしようもなく感じる。

頭の中であの人が荒い息をして僕の名を呼ぶ。

『…バニー…きもちい?』

咄嗟に唇を噛み、声を殺した。

『…声、出せ』

頭の中であの人が言う。
それでも首を横に振り、拒否を示した。
胸をいじっていた手を唇に持っていき、触れる。

『…ほら、開けろ』

あの人が触れているかのように自分の唇に指を差し入れる。

「…んぁ、」

口の中に入っているのは自分の指なのに…感じてしまう…


「…んっ、んくっ…」

握って上下に動かしながら、口の中の指を懸命に舐め上げる。

「…んっ、んぁ、はぁ、」

ゾクゾクと這い上がってくる快感。
その欲にひたすら追いかける僕はみだらに声をあげてしまう。

「…あっ、ダメ、おじさ、んっ…ヤダ、あぁっ…」

『…バニー…バニー…』

「んんっ、イ、イク、はっ、もぅ、ダ、メッ…!」

『…イケよ…』

「…やっ、だっ…んんっ…はぁっ、ン、おじさんっ、も、イイ、イっちゃう、はぁっ、」

『…イくとこ、俺に、見せろ!』

脳内のおじさんの顔が僕だけを見てる。
ゾクゾクとせり上がる欲が僕を狂わせた……



くったりとベッドに沈む身体。
室内は僕の荒い息と放ったモノの匂いが充満している。

息を整えてから深くため息をつき、目を閉じた。

「…なんなんだ、あの人は…」

ニッと笑うおじさんの顔が浮かぶ。

「…なんなんだは僕の方だな…」

腕で目を覆い隠し苦笑した。

「…認めるしかない…僕は…」

覆っていた腕を外して横に倒すとベッドの脇に追いやられていたぬいぐるみに触れた。

「貴方が好きみたいだ…おじさん」

声に出して呟いても誰にも聞こえない。
ぬいぐるみを掴み胸元に抱きしめる。

「…好きなんです……虎徹さん…」

名前を告げて、ますます自覚した。



でもこの想いは告げてはいけないと知っている。

彼には死別したとはいえ、奥さんもいて娘さんもいる。
そして、まだ彼は奥さんを愛している。
そもそも僕は男で彼も男だ。
僕が彼を好きだと告げても気持ち悪いと思われるだけだ。

だから僕の気持ちはバレてはいけないんだ。


「バニー!」

「分かってますよ!」

彼とこうしてヒーローを続けていけたら僕はいい。


「バニー!やったな!」

「貴方のお陰ですよ。ありがとうございます」

彼とこうして肩を組んでいるだけでいい。


『おやすみ、バニー』

「おやすみなさい」

彼とこうして電話で繋がっているだけでいい。


「バニーちゃん、ちょっと手伝ってくれよ〜」

「そのくらい自分でして下さい」

「そんな事言うなよ〜俺達コンビだろ〜?」

「貴方の賠償金の書類まで面倒見きれませんよ」

「なぁ〜ばにぃ〜」

「…全く…仕方ないな…」

「サンキュー!バニーちゃん大好き!」

「…っ?!…貸して下さい」

彼とこうして"相棒"として好かれているだけでいい。


だから貴方の隣にいさせて下さい。


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