BL小説(TIGER&BUNNY編2)
□【虎兎】サプライズ!!
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僕の誕生日に虎徹さんからプロポーズをされて6年。
その間、彼の中で僕にサプライズをする事が使命になっているようで毎回驚かされる。
プロポーズに始まり、入籍と記者会見と披露宴、新婚旅行・・・etc
計画したかのように僕の誕生日にそのサプライズイベントは行われる。
毎年毎年泣かされて嬉しい反面、悔しくて・・・
だから今年は逆サプライズをしようと思う。
何故、逆サプライズなのか?
それはまさにイタズラが成功したんだと嬉しそうに笑うあの人を驚かせたい。
自分の誕生日に祝われてる訳だから素直に受け取りなさいな?と何処かの炎のヒーロー兼オーナーが言いそうだけど・・・
そんな事は分かり切っている。
だけど・・・
「そうは言っても何をすればいいんだろう?」
人生で誰かにサプライズをしようと思った事がない僕にとって、あの人に何をしたらいいのか分からない。
あの人の誕生日やクリスマスなんかはプレゼントを渡して、それから・・・熱い夜を過ごして・・・
・・・あの時の虎徹さん・・・とってもカッコ良くて・・・激しくて・・・・・・
・・・・・・・・はっ?!顔が熱くなってきた!
駄目だ、バーナビー・ブルックスJr.!
今は虎徹さんへの逆サプライズイベントを考えなくては!
そう悩んでいる内にとうとう当日になってしまった。
色々な雑誌を見てリサーチをしてみたが世のカップルというものはとてもサプライズ好きなんだという事が分かった。
『彼女が前に欲しいって言ってたネックレスを誕生日にあげたら凄く喜んでくれたんだ!』
『彼氏に内緒でパーティを計画したんだけどど、もう彼氏ったら泣いちゃって!』
『私の誕生日に彼ったらいきなり私を旅行に連れてってくれたの・・・私、もうビックリしちゃって・・・』
「・・・虎徹さんって、何が欲しいんだろう?」
ずっと一緒にいるけれど、あの人から何か欲しいと言う話を聞かない。
しいて言うから"レジェント関係"の物。
でもそれは自分で買ってしまうから駄目だ。
・・・じゃあパーティは?
・・・・・・駄目だ・・・僕の誕生日なのに僕がサプライズでパーティなんか企画したって誰も協力してくれない。
・・・旅行は?
・・・駄目だ。今から諸々の手配なんて出来る訳がない。
しかも今日はタイガー&バーナビーのファンイベントがあるから、そんな時間はないんだ。
「・・・サプライズって・・・難しいんだな・・・」
虎徹さんへのサプライズも考えつかないままイベントは始まった。
事前にとっていたアンケートに基づいてファンからの質問に答えたりファンの方々と握手をしたり写真を撮ったり歌を披露したりと楽しい時間を過ごした。
スペシャルゲストにブルーローズが来て今日限定でBTB復活もした。
楽しい時間はアッという間に過ぎ、ファンの皆さんとお別れの時間が来た。
・・・イベントが終わったら虎徹さんへのサプライズを考えなきゃ・・・
考え事をしつつ最後の挨拶を終えた僕は虎徹さんを見る。
「え〜、今日はまだ終われねぇんだよバニー?」
・・・は?
僕は目を見開いた。
・・・段取りでは虎徹さんの挨拶でしめて終わりのはずだろ?
まさか僕が忘れている事があるのか?
内心ドキドキしながら虎徹さんを見ていると虎徹さんはニヤッと笑った。
「それはお前だよバニーちゃん?」
「・・・へ?」
虎徹さんの声で照明が暗くなり、客席のペンライトが左右に揺れる。
そしてピアノ音が静かに奏でる"Happy Birthday to You"
客席にいるファンたちがそのピアノに合わせて歌っている。
下手にスポットが当たり、そこから登場したブルーローズ。
手元にはケーキを持っている。
僕はそれを黙って見ていた。
「さぁ、バーナビー。ロウソクの火を消して?」
ケーキを僕の前に置くとブルーローズは隣で言った。
言われるまま僕がロウソクを消すと一瞬にして照明が付いて会場全体からおめでとうの言葉が響いた。
虎徹さんもブルーローズもそれぞれおめでとうと言ってハグをしてくる。
抱きしめ返せない僕は胸が苦しくなって・・・視界が歪んだ。
「バニー、挨拶して?」
マイクを固く握った手に虎徹さんの手が重なる。
そのまま僕の口の前に促して微笑んだ。
「・・・あ、あの・・・」
あぁ・・・胸がいっぱいで・・・何も話せない・・・
でも・・・
「・・・みなさ、ん・・・ありがと、ござ、います・・・」
なんとかお礼だけ言って僕は大勢の前で泣いた。
舞台袖。
「どういう事ですか虎徹さん?!」
やっと泣き止んだ僕は虎徹さんに詰め寄った。
「いや〜・・・お前の誕生日だし皆で祝うのもいいかな?って思ってさ〜」
「だからってあんな・・・」
「だって〜、今日のイベントのお客さんらって事前にアンケートとかあったろ?そこに書いてあったんだって。"バーナビーの誕生日だからお祝いしたい"って。」
・・・貴方って人は・・・
「だからな?サプライズするにはいいかな?って思ってさ。あらかじめ開場してからイベントスタッフが前説でその事をお客さんに伝えて貰って歌の練習もして貰って。」
・・・どうしてそんなに・・・
「イベントスタッフの話じゃお客さんも喜んで協力してくれたってよ?」
・・・僕が喜ぶ事をしてくれるんですか?
「・・・ダメだった?」
虎徹さんは何も反応がない僕を心配そうに眉毛を下げて見る。
まだ貴方には敵わないな・・・
フッと小さく笑って彼を見た。
「・・・駄目なんかしゃないですよ?・・・とっても嬉しいです・・・」
そう言って僕は彼にキスをした。
「・・・そういう事は他でやってくんないかしら?バカップル!」
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