BL小説(TIGER&BUNNY編3)

□【虎兎】俺は二度目の恋をした
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「……オレもうダメだ」

家でヒーローTVの再放送を見ていた俺は思わず1人ごちた。
バニーがフェイスオープンして愛想を振りまいている。
キラキラした笑顔が可愛い。

「…やべぇ…やっぱ俺、バニーが好きだわ…」






バニーが俺を"おじさん"から"虎徹さん"に変わったあの日。
入院中だと言うのに嬉しさのあまり病院を抜け出して飲みに行った。
初めは、やっと名前で呼びやがったよアイツ〜ぐらいしか思ってなかったのに、2人で飯行ったり飲みに行ったりしてる内に俺の中で”同僚”とは違う感情が芽生え始めた。

気づいた時はビビった!

まさか、そんな?俺がバニーを好き?ありえねぇ?!って。

俺の中で葛藤がすんごいあったし何度も否定した。
そんな中、能力減退が始まって…マーベリック事件でヒーローを引退。

一年後に復活したらアイツも戻ってきて…

あぁ…やっぱバニーカッコいいなって思った。

2部からスタートして一時はコンビも解消した。


なんだかんだとあって俺は今、またバニーとコンビでヒーローをしている。
隣にいるバニーの存在が愛しい。
テレビで見るバニーがカッコいいのに可愛いと思っちまう。

もう認めるしかなかった。






「バニー!飯食って帰ろうぜ!」

「はい」

久しぶりに定時に終わった俺はバニーを誘うと二つ返事でOKされた。
俺が下心で誘っている事も気づかない。
俺が言うのもなんだけどバニーはそういう方面にほんと疎い。
口に出して言うと、

『貴方に言われたくないです』

なんて返ってくるだろうから言わないけど…

「今日はどこで食事を?」

「俺ん宅!」

「またですか?」

「イヤか?」

「いえ。嬉しいです」

そう言ってはにかむバニーに笑いかける。

バニーは単に外で食うとファンに騒がれる。
その点、俺ん宅だと安心して食えるから助かるくらいにしか思ってねぇんだろうと思う。

でも俺は……そんなバニーの気持ちを利用して俺の傍にいさせようとしてるんだ。


…ごめんなバニー?
……俺、ちょっと本気出すわ……




家に帰る途中、マーケットによってチャーハンの材料を買った。
またですか?なんて言いつつ、バニーは笑っている。

憎まれ口は相変わらずだけど可愛い反応するよなぁ〜

心ン中でクスクス笑いがこみ上げる。

家に入るとソファの背もたれに上着を掛け、バニーは腰を下ろした。

「ちょっと待ってろ〜チャッチャ〜って作ってやるから」

「はい」

ソファでくつろぐバニーを横目に見ながら俺は鼻歌交じりでチャーハンを作った。

俺の作ったチャーハンを食って笑うバニーが見られる。
そう思うだけで頬が緩む。

「なに笑ってるんですか?」

「ん〜?べ〜つに〜」

「ふふ…おかしな人だな…」

呆れながら笑うバニーにまた笑いが込み上げてくる。

そうやって俺に向かって安心した顔してるけど…俺、今からお前に告るつもりなんだぞ?
俺がお前を好きだってさ?
それを聞いてお前はどうする?

嫌な顔をするか?それとも…照れながら笑うか?



「やっぱり虎徹さんのチャーハンは美味しいですね」

食った後、コーヒーを淹れてやるとバニーは一口飲んでから口をついた。

「そっか〜?あるモンだけでチャーって作ってるだけだけどな〜」

「僕にとっては一番美味しいですよ?」

「そっか…サンキューな」

「いえ…」

はにかむように笑う綺麗な顔に見惚れる。

「…こ、虎徹、さん?」

ソファの背もたれに肘を置き、頬づえをついてバニーを見ているとバニーは恥ずかしそうに頬を赤くした。

「…ど、どうしたんです?」

「ん〜…なんかお前、可愛いなって思ってさ…」

赤くなったバニーの頬に手を添えて微笑みかける。
手から伝わるバニーの熱さ。
ますます熱くなる頬。

「あ…や、止めて…下さぃ…」

顔を横に振り、俺の手を振り払う。
そのまま俯いて目を泳がせている。

ちょっとは俺を意識してくれたか?

バニーの顎を持ちあげて俺の方に向け、

「…バニー」

親指でバニーの唇に触れ、

「…ぁ…ど…どうして…こんな事を…?」

揺れるエメラルドの瞳。

「…分かんない?」

「わ、分かりま…せん…」

「…お前が好きだからだよ…」

「……え?」

「…お前の事…好きだからだ…」

「…そんな…嘘だ…!?」

唇に触れていた手を叩いて後ずさるバニー。
少し潤んでいる瞳が綺麗だ。

「貴方が…そんな…」

「嘘じゃねぇよ…俺はバニーが好きだよ?…キスしたいくらい…」

「…っ?!」

「それ以上だって…」

「嘘だ!!貴方は今でも奥さまを愛しているはずです!だって…」

チラリと俺の左手に目を向ける。

「…あぁ…確かに俺は友恵の事、忘れたわけじゃねぇし…忘れられない…この指輪だって外せねぇ…」

左の薬指に口づけを1つ。

「これは…俺がヒーローを続けていく為の大事なモンだからな?」

「……」

「だけどお前の事も大事…友恵とおんなじくらい…」

「…こ、てつ…さん…」

「わりぃなバニー?もう気持ち止まんねぇんだ…」

バニーの首裏に手を掛けて引き寄せて耳元に口付けた。

「気持ちわりぃってんなら突き離してくれ…」

そんな事言いながら俺はちょっとだけ期待してんだ。
もしかしたらバニーも俺をって…
まぁ、虫のいい話しだけどな?

するとバニーは俯きながら俺の胸を両手で押し返してきた。

あ…ダメなのか…

ちょっと期待してただけに思わずため息が漏れる。

「…僕の気持ちは無視ですか?」

「…え?」

「貴方の気持ちは分かりました。その…そういう気持ちで僕を好きだと…」

「あ、うん」

「…僕の気持ちは聞かないで……ヒドイです…」

俯いていたバニーが上目づかいで俺を見る。

「…バニー」

「僕は虎徹さんが好きです」

「え?!」

「でも…貴方の言う…その…キスしたい、とか…僕には分からなくて…」

「……」

「…だからっ…その…キス……て…すか?」

「へ?」

最後の方が聞きづらくて変な声が出た。
すると意を決したように顔を上げて、

「だからっ!キス、して貰っていいですか?」

「え?」

…なに?なにこの可愛い生き物??

顔を真っ赤にして身体も震えてる。

あ〜…もう…この兎ちゃんは…

俺はバニーの両頬に手を添えてプルンとした唇に優しくキスをした。
固く閉ざした唇。
緊張が伝わって俺までドキドキした。
これじゃあまるで思春期の中坊だ。

何度も角度を変えて、ちゅっちゅと音を立てる。
だんだんとバニーの唇から緊張が亡くなったのか、柔らかくなった。
ペロッと舌で唇を舐めると驚いて少しだけ唇が開いた。
そこにゆっくりと舌を忍ばせる。
並びの良い歯をなぞり、中に引っ込んだ舌を捜す。

「…ん…んん…」

バニーのくぐもった甘い声が漏れる。

やべぇ…気持ちイイ…

舌先でバニーの舌に触れて、そのまま強引に絡ませた。
バニーの唇が、舌が気持ち良すぎて…夢中でキスをした。
すると、

「んんんっ…んんーーーっっ!!」

苦しくなったバニーが俺の肩を掴んで引き剥がした。
俺のツバでエロくなった唇。
肩で息をして、

「苦しいですよ…」

「え?なんで?」

「息が出来ません」

「え?鼻で息すりゃいいだろ?」

「え?あ、…そうなんですか?」

「なにお前?キスした事ねぇの?」

「……仕方ないじゃないですか…そんな事している余裕なかったんですよ…」

「……なにそれ…お前可愛すぎ」

「煩いですよ?」

「で?俺とキスしてみて分かったの?」

「……はい」

「…どう?俺とおんなじ意味で俺の事好き?」

「……どうやら、そのようです」

「…プッ」

バニーの返事に俺は笑った。
それはあまりにも他人事のように話すから。

ほんとお前は可愛いよ…

クールでスタイリッシュな癖に、こと恋愛に関してはまるで子供みてぇに可愛い…

「いつまで笑ってるんですか、虎徹さんは!!」

大笑いする俺にバニーは拗ねて、その拗ねた顔も可愛くて…俺はバニーを抱きしめた。






おわり…


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