二次創作
□【一織】安らぎのひととき・・・
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俺は・・・いつから気になってんだ?
仲間だったじゃねーか、あいつは。
あの天然な優しいあいつ。
俺がルキアを助けに行くかどうか迷ってる時、さりげなく背中を押してくれたのもあいつ。
助けに行く時も何も言わずについてきたのもあいつだ。
石田やチャドは男だから気持ちはありがたいと素直に喜べんだけど、あいつは・・・井上は違った。
いや・・・嬉しくねー訳じゃねぇ。
やっぱ仲間だし、ルキアとも友達ってのもあってか、助けに行きたいって気持ちはすげぇ分かんだけども・・・・・。
危ねぇ所に女の子を連れて行くのは気が咎めた。
でも、あいつは着いてきた。
俺の手助けがしたいと。
藍染にさらわれた時・・・いや・・・その前に・・何か気配があった。
ーーあの夜・・・・。
柔らかな何かが触れたような・・・・・・。・・・夢だと思うけど・・・。
そして、この世からあいつの気配が無くなった。
胸のあたりがざわめいた。
「黒崎くん!」
「ん? どうした、井上?」
「どうしたじゃないよぉ。黒崎くんがぼぉーっとしてたからじゃない?」
クルクルとよく表情が変わる。
そんな井上を見ているのは好きだ。
「わりぃ、井上。で、何?」
「やっぱり、聞いてない!! たつきちゃんがね・・・・」
どうやら花火大会に行こうと言う話があるらしい。
・・・また、団体活動かよ・・・。
俺は少し怪訝な顔をした。
すると・・・
「あっ! 黒崎くん・・・そーいーのダメだったよね? ごめんね・・・あ〜・・・あたしってダメだなぁ・・・・・」
と苦笑いをしながら謝る井上。
いやいや・・・別にお前に対してじゃねーんだけど・・・・・。
「お前が謝る事ねーよ」
「・・・・・・」
井上・・・頼むから・・・。そんな目で見るな。
そんなすがるような瞳・・・。
「やっぱり・・・花火大会・・・行かないよね・・・」
「・・・・・・」
「だよねぇ〜! ごめんなさいっ!! もう、この話、おしまいっ!」
「・・・あのさ・・・井上・・・」
「なぁに?」
「今年はさ・・・2人で行かねーか?」
・・・っ?! 何言ってんだ、俺??
自分でも驚いた。
「・・・え?!」
驚いたような・・・恥ずかしそうな顏をする井上。
「え・・・あ・・・ん・・・・・なんでもねぇ・・・」
俺は照れ臭くなって、スタスタと先に歩き出した。
「えっ・・・? ちょっと待ってっ・・・黒崎くんっ!!」
慌てて後ろからついてくる井上。
2〜3歩俺の後ろあたりから近付いてこない。
俺は井上の歩幅に合わせる。
「ねぇねぇ、黒崎くん! なんて言ったのぉ?」
「あ〜・・・もう忘れてくれ・・・」
「えぇ〜、忘れないよぉ。だって黒崎くんが初めて誘ってくれたんだから」
ったく・・・
聞こえてんじゃねぇか・・・
「あーー うるせぇ」
「黒崎くんってばっ!!」
井上は後ろから俺の腕を掴んだ。
俺は立ち止まり、顔だけ向ける。
「・・・一緒に行ってくれるの?」
だから・・・・・・
「・・・嫌か・・?」
俺は頬をポリポリ掻きながら聞いてみる。
「ううん・・・。嫌なんかじゃないよ。・・・嬉しい・・・」
井上の顔が真っ赤になっているのは、決して夕日のせいだけじゃないだろう。
そんな恥ずかしそうなこいつの顏をみた俺は腕を掴まれてる手をほどき、改めて手を繋いだ。
「ほら・・・帰んぞ」
俺は井上を牽いて歩きだした。
繋いだ手が・・握り返してくるまで少し時間がかかった。
でも・・・しっかりと繋がっている・・・。