BL小説(銀魂・ワンピース・メジャー・黒バス編)

□【火黒】僕の初恋
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僕は君の影だ。
君の輝きが増すと影の僕はより濃くなる。
君と出会えて良かった。
君がいると僕の心はとても暖かくなる。
……火神くん…


「………」

この気持ち…言うつもりはなかった…
僕の気持ちを伝えれば、きっと火神くんは困ってしまうから…

「…ふざけてんのか?」

口調とは裏腹に火神くんの表情は、疑うような、悲しいような、そんな複雑で…

「ふざけてなんかいません!でも、その事は忘れて下さい」
「はぁ?!」
「僕は火神くんが好きです。でも、その気持ちに応えて貰おうとは思ってないです。つい、口から滑ってしまった事で、自分勝手ですが、どうか忘れて下さい」

口から出てしまった本音を否定する事は出来ない。
何故なら僕の本当の気持ちだから。
でも、それで火神くんに迷惑がかかるのは嫌だ。
だから、せめてその事は忘れてしまって欲しい。
君の影であり続けたいから…

「……忘れねぇよ」
「え?」
「そんなの忘れられる訳ねぇだろ…俺だってお前の事、好きなんだから」
「……え?」

…今…なんて言いました?
火神くんが僕を好き…?
嘘…ですよね…?だって、僕…男ですよ?…影が薄いから男だって事も忘れたんですか、火神くん?

しばらく頭の中がパニックになっている僕は言葉が出ずにいると火神くんの顔が見る見るうちに赤くなっていた。

「あーっ、もー!」

急に大声を上げた火神くんは僕の肩を抱き寄せ…目の前が真っ暗になった。

「…え、あ、ぇ…?」

…あ、…火神くんの匂いだ…

温もりと火神くんの匂いで、僕は抱きしめられたんだと自覚した。

「…黒子…」

僕を呼ぶ声がとても甘くて擽ったい…

「黒子が、好きだ…」
「かが、み、く…?」
「俺ら、両思いだったんだな」

僕と火神くんが両思い …?本当に…?

火神くんの腕の中で僕は顔を上げた。
見上げた先の火神くんの顔が凄く優しい。

「…かぁ、みく、…」

嬉しさが込み上げてきて…火神くんの顔が滲んで見えて…
火神くんにもう1度想いを告げたい…のに、声が上手く出ない…
子供のように泣く僕を火神くんは優しく抱きしめながら背中をポンポンと叩く。
大きく骨ばった手がとても暖かくて、僕の涙腺は更に崩壊した。

「…黒子…泣くなよ…お前に泣かれるとツラくなっから…」

困った顔をしている火神くん。
ごめんなさい…好きです…だから、嬉しくて…君にちゃんと言いたいのに、涙で君が見えないし、言おうとすれば言葉が上手く紡げない…
ぎゅっと火神くんの腰に手を回して服を掴む。
それに気づいた火神くんはポンポンしていた手を僕の頬に這わせながら親指で涙を拭ってくれた。
その手を感じたくて目を閉じた。

「…かが、み…く…好き、です…」
「…くろこ…」

頬を撫でる手で僕の顔を上に向かせた火神くんを見ると火神くんの顔がだんだん近づいてくる。
鼻先まで近づいてからポツリと呟いて、僕の唇にそっとキスをした。

『…my sweet lover…kuroko…』




「…んで?お前の惚気話を聞かされて、俺らはなんて反応したらいいんだよ…」
「黒子っち〜とうとう火神っちと付き合う事になったんすね〜」

以前から火神くんの事で相談に乗ってもらっていた青峰くんと黄瀬くんにご報告をとマジバに呼び出した。
黄瀬くんはとても喜んでくれた。

「はい」
「おめでと〜黒子っち〜」
「ありがとうございます、黄瀬くん」
「ほら〜青峰っちも祝わなきゃっすよ〜」
「誰が祝うか!ボケ!」
「青峰っち、ヒドイっす〜」

青峰くんは呆れた顔でハンバーガーにかぶりついた。

「つーか、火神って結構キザなヤツだったんだな」
「そうですか?」
「なんだよ"マイスイートラバー"って!外人か!」
「帰国子女なんで」
「あ、そんな事言ってたっすね〜」
「…あのよ」

僕の隣で大量のハンバーガーを食べている火神くんが顔を真っ赤にして口を開いた。

「頼むから本人前にしてそーいー話しないでくんね?」
「いいじゃないっすか〜火神っち〜!今日は黒子っちと火神っちが両思いになった記念のお祝いなんすから!」
「そもそもなんだよ黒子!この2人がなんで俺らの事話してんだ?!」
「彼らは僕の相談にとても親身になってくれたんですよ」
「はぁ?!」
「特に黄瀬くんには色々と…」
「そうなのか?」

とても火神くんには言えないような事まで…

黙って俯く僕の代わりに黄瀬くんが大きく頷く。
すると火神くんは僕の肩を抱き寄せて、sorry…と呟きながら僕の頭にキスをした。

「こいつらに相談するくらいにお前を困らせてたんだな…」
「…火神くん…」
「俺がもっと早くお前に告っときゃ良かったんだよな」
「そんな事ありません!」
「黒子…」

あぁ…火神くん…なんてカッコイイんだろう…
その真紅の瞳が優しく揺れる…
つい、引き込まれそうになってしまう…

「あーー!そういう事は家に帰ってからしろ!!」

青峰くんがテーブルを叩いた。
その音に我に変えった火神くんが慌てて僕を抱いていた手を離し、顔を逸らした。

「まぁまぁ、青峰っち〜。しょ〜がないじゃないっすか〜。やっと両思いになって黒子っちも嬉しいんすよ」

宥めるようにハンバーガーを青峰くんに渡す黄瀬くん。
青峰くんはそれを受取りながら舌打ちをする。
大口を開けて食べる青峰くんをニコニコしながら見る黄瀬くんは可愛いなぁと見ていると火神くんがポツリと、

「…あ、黄瀬、…青峰の事好きだろ?」
「はぁ?」
「…っ!?」

その言葉に青峰くんは心底分からないと言う顔を向け、黄瀬くんは顔を真っ赤にした。
火神くん…それは言ってはダメですよ…

「な、な、何言ってんすか、火神っち?!」
「いや、だってお前…ふぐぐっ…」

火神くんが余計な事を言わないように手で火神くんの口を塞いだ。

「確かに黄瀬くんは青峰くんに憧れてバスケを始めたので間違いではないですよ、火神くん?」
「…黒子っち…」

一応フォローを入れたけど、大丈夫ですよね?

「訳分かんねぇ事言ってんじゃねぇよ、火神」

渡されたハンバーガーを食べ終わった青峰くんはだるそうな顔で呟く。
そして、

「ほら、黄瀬、出るぞ」

と黄瀬くんの腕を掴んだ。

「え?」

されるがままの黄瀬くんは驚いた顔をして僕を見る。

…これはもしかしたら…?

僕はクスリと笑って黄瀬くんを見る。

もしかしたらもしかするかもですよ?

そういう意味合いをもって見つめていると黄瀬くんの顔がますます赤くなった。
そのまま2人は店を後にして、僕と火神くんだけが残された。

「…俺…マズイ事言ったか?」

心配そうな顔で僕を覗き込む火神くんに、

「…大丈夫かもしれませんね」

と笑った。


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