BL小説(銀魂・ワンピース・メジャー・黒バス編)

□【火黒】恋愛の方だっつーの!
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同性愛なんてのに偏見なんかねぇ。
向こうでも結構いたし、ダチにもいたしな。
まぁ、俺はバスケしか頭になくて恋だの愛だのに興味なかったから、自分には関係ねぇ事だって思ってたんだけど…



「火神くん。ぼーっとしていないで早くプリント回して下さい」

後ろの席にいる黒子の声で俺は前の席のヤツからプリントを配られてる事に気づいた。

「あ、わりぃ」

急いでプリントを黒子に回して謝る。

「……どうしたんですか?寝ていたんですか?」
「…寝てねぇよ」
「最近ずっと様子がおかしいですね」
「…そっか?」

コイツと目を合わせたらきっと何かに気づく。
だから授業中だから後ろを振り向けないって事にしながらポツポツと答えた。
コイツにだけはバレちゃなんねぇ。
コイツにだけは…

俺は黒子が好きだ。
バスケが好きで、下手っクソで、すぐ体力なくなるし、スゲェ頑固で、負けず嫌いで、ズケズケ言うし…でも俺の背中に隠れて居眠りしてる顔とか、俺を見上げる瞳とか、伏し目がちに俯くとことかも可愛いなぁって…悔し涙流した時には、ぜってぇ泣かせたくねぇって思いながら、綺麗だなって思っちまった。
初めはチームメイトとして、相棒として、likeの意味で好きなんだって思ってた。
一緒にいて楽しいし、何より黒子といる時間が好きだ。
だからダチって意味での好きだと思ってたんだけど…
どうやら俺は黒子の事、love…の意味で好きなんだと自覚した。

「火神くん。火神くん」

授業が終わって黒子から声を掛けられた。
ふと顔を上げると隣にカバンを下げて俺を見下げる黒子がいた。

「帰らないんですか?」
「え?帰るって、今日部活は?」
「全く、君はバカですか?昨日、カントクが言ってましたよね?今日は休みだって」

あ〜…そういえばそんな事を言ってたっけか?

「あ〜」
「…本当にどうしたんですか?いつもの火神くんなら、じゃあストバスしようぜ。くらい言いますよね?」
「いや、まぁ…今日はそんな気分じゃねぇし…」
「……そうですか。じゃあ帰りましょうか」

俺の様子がおかしいのは多分バレてる。
でも黒子はそれを気づかないふりをして帰りを促した。

「黒子〜」

するとクラスメイトのヤツが黒子を呼んだ。

「はい」
「なんか、お前呼んでくれって子がいて…」

教室の入口に目を向けるとクラスメイトと一緒にいるのは同級生らしき女。
その女は俯いていて、なんか照れてる。

「…はぁ」

困った顔をしてる黒子がチラリと俺を見た。
そんな顔、俺に向けられたって…

チク…

「じゃあ、俺は先帰ってるわ」

ガタンと乱暴に立ち上がると後ろの扉へ向かった。
後から黒子の声が聞こえたけど聞こえないふりをして俺は教室を出た。


そのまま帰るのもなんだかなぁと思った俺はマジバへ寄った。
いつもより少なめ(つっても20個だけどな?)にチーズバーガーをオーダーして席に着く。
ドカッと座ってチーズバーガーを掴む。

「…はぁ〜…」

あの女、ぜってぇ黒子に告白するつもりだ。
WPで優勝してから誠凛高校バスケ部は学校中で有名になった。
まぁ俺も告白とかされたけど、今の俺は女と付き合う気はさらさらねえし、何より黒子が好きだから断り続けた。

「…でも、黒子は…」

断わらねぇんだろうなぁ…
大人しそうな女で黒子とお似合いだったし…
あぁ…胸がいてぇ…
食いもんが喉を通らねぇよ…

俺はオーダーしたチーズバーガーを持ち帰りにしようとカウンターへ向かった。

「火神くん」

俺を呼ぶ声が聞こえて振り返るとそこには女に呼び出された黒子がいた。

「のわぁっ?!黒子?!なんでお前いんだよ!?」
「…ヒドイです、火神くん。先に帰るなんて…」
「え?だってお前、呼び出されてたから…帰った方がいいんじゃねぇかって思って」
「…火神くんにしては気を使いましたね」
「にしてはってなんだよ!?」
「待っててくれたら良かったのに…用事はすぐに終わりましたから」
「へ?そうなのか?」
「はい」

頼んでいたバニラシェイクを持ちながら俺を見上げる。

「帰るんですか?」
「あ、あぁ」

これ以上ここにいたくないとばかりに店員にバーガーを持ち帰りたいから袋を貰い、元いた席へ行った。
大量のバーガーを袋に詰める俺を黒子はチューチューとバニラシェイクを飲みながら待っていた。



隣で歩く黒子を見る。
女から告られたわりに嬉しそうじゃねぇよな。
まぁ、コイツはそんな顔に出るタイプでもねぇけど…それでも他のヤツらよりはコイツの表情とか分かってるはずだ。
黒子は俺の影なんだから。

…まぁ…嬉しそうにされても、それはそれでへこむけどさ…

「8回目」
「は?」
「マジバを出て、火神くんがため息を付いた回数です」
「なに、おまえ!数えてたのかよ?!」
「はい。しかも僕の顔を見て、ため息を付くのであまりいい気はしなかったですね」
「あ、わりぃ」
「……」
「…な、なんだよ?」
「言いたくないなら別にいいですが、もし火神くんが悩んでいるなら話しくらい聞きますよ?」

そう言った黒子の顔は真剣で思わず息を飲んだ。
おめぇの事だよ…とは言えず、俺はわざと大げさに笑った。



「くそー、悩みすぎてハゲそうだぜ!」

ベッドに大の字になって寝転びながら叫んだ。
だいたい黒子がいけねぇんだ!
男のクセにちっせぇし、白いし、サファイアみたいな目がきれぇし、柔らかそうなちっせぇ口も……

「だーーー!!俺はどーすりゃいいんだー!!」

ガバッと起き上がるとサイドテーブルの携帯が鳴った。

「どわっ?!ビビった〜」

液晶も見ずにタップすると、

『hello、taiga?』
「tatuya?What's wrong?(どうした?)」
『No, slightly(いや、ちょっと)。タイガが元気かな?って思って、電話してみたんだ』

電話口で話すタツヤの声が優しくて俺は思わず泣きそうになった。

「…タツヤ…」
『What's the matter(どうしたんだい)、taiga?!』

俺の弱々しい声を聞いたタツヤが珍しく慌てる。
俺はさっきまでモヤモヤしている気持ちをゆっくりと話し始めた。


『…なるほどね。だから元気がなかったんだね』

俺の話を聞き終わったタツヤがため息とともに呟いた。
タツヤに話した事で俺の気持ちも少しだけ落ち着いた。

『でも、意外だな』
「え?」
『タイガは好きになったら真っ直ぐに告白するタイプだと思っていたからね』
「あ、まぁ…」
『それこそ、相手が男だろうと関係ねぇとか言うかと思ったよ』

そうやってウジウジ悩むなんてタイガらしくない。とクスクス笑うタツヤ。
確かにそうかもしれねぇ。
こうと決めたら、そこに向かって進んできた。なんにでも…
ウジウジ考えるのは…確かに俺らしくねぇ。

「Thank's、tatuya!」
『Go for it、bro!(頑張れよ、兄弟)』

タツヤの優しい声が俺の背中を押してくれた。
ほんと、マジ、サンキューな…タツヤ…
電話を切った俺は気合を入れるように両頬をパシッと叩いた。



「おはようございます、火神くん」

登校途中、不意に声を掛けられて振り向くと黒子がいた。

「おまっ、ほんと止めろよ!毎回毎回ビビらせんじゃねぇよ!!」
「僕は普通に声を掛けただけですし、そろそろ慣れて下さい」
「せめて気配を出せ!」
「無茶言わないでください」

ムスッと拗ねた顔をして俺の前を歩く黒子。
昨日のタツヤとの電話で決心したのに、いざ黒子の顔を見ると言いづらい。
その拗ねた顔も可愛いなとか俺どんだけだよ?!
…でも、せっかくタツヤに背中を押してもらったんだ!
俺らしくある為に…俺は…

「…なぁ」
「はい?」
「…ちょっと話、あんだけどよ…今日部活終わってから俺ん宅来ねぇ?」
「……」

感情が出ないサファイアが俺を見る。

「…美味しいご飯を作ってくれますか?」
「は?」
「僕の為に美味しいご飯を作ってくれるなら行きます」
「お、おぉ!作ってやる作ってやる!」
「フフ…楽しみにしています」

俺は黒子の笑顔にドキドキしながら、黒子の頭をくしゃりと撫でた。



今日の部活もハードだった。
カントクが今度の練習試合相手の偵察に行って、テンション上がっちまったせいだ。
まぁ、強い相手ん時にそうなっちまうから俺としてはワクワクすんだけど…さすがにメニュー3倍はキツイ…

「……」

隣で歩く黒子の顔色が悪い。

「黒子」
「はい」
「…お前、疲れただろ?俺の話は今日じゃなくてもいいから…今日はうち帰るか?」

黒子は俺の言葉に目を見開いて驚いた。
そして一瞬泣きそうな顔になってから、いつもの感情のない目をして、

「…大丈夫です」
「そっか?」
「それに火神くんの手料理、食べたいです」
「…そっか…分かった」

あんま無理すんなよと言いながら俺は黒子の頭を撫でた。




「火神くんの癖に料理が上手いとか、なんなんですか?」

俺の作ったオムライスを残さず平らげ、ボソリと呟く。

「癖にってなんだよ、癖にって!」
「冗談です」
「いや、チッて顔したよな今!!」

ったく、素直に旨いって言えねぇのか、コイツは!

皿を片そうと立ち上がると黒子が俺の手に自分の手を添えた。

「…え?」
「片付けは僕がします。作ってくれたお礼に」

そのまま皿を持って流し台へ皿を持っていった。
腕まくりをしてコックを捻り、スポンジを濡らしてから洗剤を付けると皿を洗い始めた。
その様子を俺はソファに腰掛けながら見つめた。
なんか変な感じだ。
俺ん宅のキッチンで黒子が洗いモンしてる。
なんだか照れくさいな。つか、俺はどんだけ黒子を見てんだよ!?
俺はローテーブルに置いてあるリモコンを手にした。

…これから俺は黒子に告る。
普通に考えたら気持ちわりぃ話だ。
男が男を恋愛対象として見てんだから。
……あ〜…なんか緊張してきた…
告る時ってこんなにドキドキしたっけな?
アメリカにいた頃に1回だけ告った事はある。
あん時も確かにドキドキはしたけど…相手から言われて俺も好きだっつって……あれ?…ちょっと待て俺…

…俺から…告ってなかった…

マジか俺!?告ったと思ってたけど告ってなかったのか俺?!
つー事は俺…人生で初めて告るって事か!!
やっべぇ…すげぇドキドキしてきた…

「火神くん」
「どわっ?!」

急に黒子が声を掛けてきた。
俺はビビって思わず仰け反った。
思いの外、黒子が近くにいて、俺の顔を覗き込んでくる。

「どうしたんですか?ボーッとしてますね?」
「あ、いや、…」

頼むから!首傾げて俺を見上げんな!

「…火神くん、話があると言ってましたけど…?」

聞く体制が出来たとばかりに黒子は俺の隣で正座をして背筋を伸ばした。
どこか緊張した顔で俺を見上げるブルーの瞳。
足を崩していた俺も黒子に習って正座して黒子に向き合った。

「…ぁ、あのよ…」
「…はい」
「俺……お前の事、好きなんだ…」
「……はい…僕も好きです…」
「………」
「………」
「って、おい!?俺の言ってる意味分かってんのか、てめぇ?!」
「分かってますよ?」
「そのわりにはすんなりしてんなぁ!日本じゃ、そーいーのあんまねぇだろ?!」
「そうですね」
「…てめぇ…!?」

必死な俺の告白をあんまり普通に返す黒子。
思わず胸ぐらを掴んだ。

「…君の言う"好き"は友愛ですか?恋愛ですか?」

それでも平然と問いかける黒子に俺は喉を鳴らす。

「…れ、恋愛の方だっつーの…」
「…良かった…僕と一緒ですね」

俺の答えに黒子は…小さく笑った…



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