BL小説(銀魂・ワンピース・メジャー・黒バス編)

□【青黄】初恋って叶うモンだな
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青黄

「なんなんですか?」

不機嫌そうな顔してバニラシェイクをすするのはおれの元・相棒。
その隣にはソイツの現・光である火神がチーズバーガーをリスみてぇに頬を膨らませて食っている。

「…んな顔すんなよ〜、テツ」
「誰のせいだと思ってるんですか?君ですよね、青峰くん?僕と火神くんの貴重な時間を邪魔してるのは?」

無表情(っつーか、ぶっちゃけ怒ってる)で話すテツに舌打ちをして顔を逸らした。

「そう言うなよ、黒子?青峰が相談があるって言うんだから、ちゃんと聞いてやろうぜ?な?」

チーズバーガーをゴクンと飲み込み、火神は困ったように笑いながらテツの頭を撫でる。
言われたテツもテツで顔なんか赤くしやがって…

「…火神くんがそう言うなら…」

とか照れてんじゃねぇっつーの!!
火神も火神でなんだ?!ふんわりした感じで笑ってんじゃねぇよ!?

「…で?相談ってなんだよ?」

とそんな火神が話を振ってきやがった。
俺は頭をガシガシと掻いて、息を吐いた。


…最近、黄瀬から連絡が来ない。
それがどうしたって言われるかもしれねぇけど、俺にとっては大問題な訳だ。
なんせ、俺が距離を取ろうがなんだろうが連絡してきた黄瀬がここ一ヶ月全く連絡ないんだからな。
なんかあったんじゃねぇか?って思ったけど、ムカつく程の笑顔でテレビに出てるし、なんなら俺の方から連絡しても無視。
マジ、ムカつくったらねぇぜ!

「……チッ」
「舌打ちすんじゃねぇーよ!テツ!」
「……聞こえてましたか」
「聞こえるように言ってんだろがテメェはよ!」
「青峰くん、黄瀬くんに何かしたんでしょう?」
「何もしてねぇーよ!」
「じゃあ、なんで?」

口の中のチーズバーガーを飲み込んだ火神が不思議そうに首を傾げる。
いや、お前がそんなことしても可愛くねぇから!黄瀬なら可愛いけどお前全然可愛くねぇから!!

「……」

って、テツ!?そんな火神見てぼーっとしてんじゃねぇよ!!

「…もしかしたら、テツの方に連絡いってっかな?と思ったんだけどな」
「……」
「違うみてぇだな…」
「昨日、黄瀬んとこと練習試合あったけど、普通だったよな?」
「あぁン?」
「……火神くん……」

背もたれに思いっきりもたれ掛かっていた俺は火神の言葉に思わず立ち上がった。
そして火神の襟元を掴み、

「おま、黄瀬に会ったのか?!」
「お、おぉ…」
「アイツ、なんか言ってなかったか?!」
「え?あ、…そうだな…相変わらず黒子にベッタリだったなぁ…試合の後、1on1しろって言われてやったくらいか?」
「…テツ…なんで、言わねぇんだよ…?」
「返事をしなかっただけでわざと言わなかった訳ではないですよ?」
「……チッ」

面白くねぇ…火神には1on1強請る癖に、俺からの連絡は丸無視とかよ〜

「拗ねても可愛くないですよ、青峰くん?」
「うっせー」
「でも、なんでだろうなぁ〜黄瀬のやつ。あんだけ青峰っち青峰っちって言ってたのによ〜……やっぱ、なんかしたんじゃねぇのか青峰?」
「だから、なんもしてねぇっつってんだろ?!」
「ん〜…じゃあ、ちょっと電話してみるか」

そう言うと火神は徐に携帯を取り出した。

「つーか、なんでお前が黄瀬の連絡先知ってんだよ!?」
「黒子が勝手に俺の番号とかアドレスを黄瀬に教えたんだよ!」
「……テツ〜」
「黄瀬くんが、火神っちの連絡先教えて欲しいっス!と言ってきたので…」

バカ黄瀬〜アイツなに火神なんかの連絡先とか聞いてんだ!?
つーか、テツもなに勝手に教えてんだバカ!!
思わずテツを睨むけどテツは平然とバニラシェイクをチューチュー吸っている。

「……あ、もしもし、黄瀬?」

黄瀬が電話に出たらしく、火神が話し出した。
俺はその様子を伺うように見ていた。

「お前さ、なんで青峰に連絡しねぇの?……ん。……あ、いや、まぁ……いるけど……」

頷きながら俺を見る火神。
黄瀬のやつ…なんて言ってんだよ?
火神、なんでもいいから変わってくれ!
そう思った俺は手が勝手に動いた。
火神の携帯を奪い、

「こら、黄瀬!」
『…っ、あお…っち…』

黄瀬の声だ…もうずっと聞いてなかったような気がする…
ずっと聞きたかった……俺の好きな…声だ…

「お前、なんで俺の電話、無視してんだ!?」

黄瀬の声を聞いた俺は嬉しかったけど、でもイライラして怒鳴った。

『…ぁ、…ゃ、…ごめ…っ…』

弱々しい、ビビってる声で黄瀬が謝る。
慌てた俺は、

「あ、いや、わりぃ…俺はっ…」
『…あおみ、ねっち…ごめん…』

プツン…ツーツー…ツーツー…

……切りやがった……

手の力が抜けて、持っていた携帯が落ちる。

「ちょ、おまっ…!!」

火神が慌てて携帯を拾ってるみてぇだけど、今の俺はそれどころじゃない。
黄瀬が…俺と話してんのに…電話切りやがった…あの黄瀬が…

「……青峰くん」

机に突っ伏した俺にテツが声を掛けた。

「…なぁ、テツ…俺、黄瀬に避けられてるよな〜?」
「…そうですね」
「なんでだよ!俺、避けられるような事してねぇぞ!!」
「………」

すると携帯が無事だったのを確認した火神が、

「お前、知らねぇ間になんかやっちまってんじゃねぇのか?」
「あんだと火神!?」

俺は思わず火神の胸倉を掴む。
それにひるむ訳でもなく火神はじっと俺を見た。

「だってよ〜、あの黄瀬だぜ?あの黄瀬がお前を避けてるってよほどの事がない限りしねぇと思うんだよ」
「…っ」

火神が痛いとこを突いてきた。
…コイツ…鈍そうに見えっけど、鋭いな…野生の感か…?

「…青峰くん」
「……」
「黄瀬くんと連絡が取れないだけで、どうしてそんなに落ち込んでるんですか?」
「…落ち込んでる?俺が?」
「……無自覚ですか…性質の悪い…」
「おいっ!!」
「青峰くん、君はその理由を考えて下さい。何故、黄瀬くんから連絡がないだけで落ち込むのか…そうすれば自ずと行動が取れるはずです」

テツは言うだけ言うと、もう話は終わりだとばかりにシェイクをズズズッと最後の一滴まで啜った。
隣では火神がトレイいっぱいにあったバーガーを完食していた。



自分の部屋のベッドにドカッと寝転んで天井を見た。

『青峰っち』
『……好き…っス…』
『…な〜んてね!今言ったこと忘れて?』


……アイツらに言ってない事がある…
実はこの間、黄瀬と1ON1をした時に言われたんだ…
すぐ冗談っつってたけど、アイツ……

「…アレ、本気だったのか…黄瀬…?」

黄瀬にコクられて、実際のところ俺は嫌じゃなかった……俺は…黄瀬と会う前から黄瀬の事が好きだったんだからな…
だけど黄瀬は俺のバスケが好きなだけだった。
ワンオンワンしろって強請って、俺のバスケがカッコいいって言って…そんなアイツが可愛くて仕方なくて…黄瀬と俺の"好き"は全然違う…
だから俺の気持ちはずっと隠し通すつもりだった…なのに…

「だーーーーっ!!黄瀬の奴っ、なんで電話に出ねぇんだっ!!」

俺は頭を抱えながらベッドの上をゴロゴロして壁にぶつかった。




「…う〜…寝れなかったぜ…」

朝、家を出て学校に向かってる俺は欠伸をしながら頭をガシガシと掻いた。
ずっと黄瀬の事を考えてたら朝になってた。
こんなのバスケの試合でもねぇわ、マジ。

なんで黄瀬はあんなことを言ったんだ?
俺のバスケが好きだっつーのは中学ん時から言ってたじゃねぇか。
それなのになぜあのタイミングで好きなんて言った?
それを言われて俺は心臓が止まるかと思った。
好きだったヤツからコクられたんだからな。
しかもすぐ忘れろって?

「……忘れるワケねぇだろ…」

ぜってぇ忘れられねぇわ、黄瀬…
俺がどんだけ気持ち抑えてきたと思ってんだ?!
お前の言う"好き"ってのは俺とおんなじなんじゃねぇのか?
あんな赤い顔して好きって言っといて、忘れてって泣きそうに笑ってよ…

「…電話に出ねぇなら直接会ってコクってやる!!」

俺は両手で頬を叩き、気合を入れた。



アイツの学校が神奈川だから俺が部活に出てから向かうと確実に間に合わない。
だから今日は部活をサボって行く事にした。
学校から出る時さつきに止められたが、俺は必死でどうしても行かなきゃならねぇんだと言うとさつきは大きくため息を付きながら、頑張って。なんて言われた。

俺は携帯で海常高校への生き方を検索して、駅までダッシュした。
乗った事がない路線の電車に急いで乗り込むと空いてる席に座った。
息を整えてから、ふと窓を見る。
流れる景色が見慣れたものから知らない風景へと変わっていく。

…隣の県ってだけなのに、遠いよなぁ…
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