BL小説(銀魂・ワンピース・メジャー・黒バス編)

□【火黒】俺とあいつとアイツ
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なんとなく分かってたんだ。
青峰ってヤツの話をする時のアイツの顔で…

『お前の光じゃ淡すぎる…』

青峰から言われた言葉が心に刺さる。
俺は弱い…全然歯が立たなかった。
足を痛めていた事を差し引いてもだ…
あの時の青峰は"元・光"ってだけじゃなかった。
これは直感だ。
青峰は黒子に気がある。そして、黒子も…



「火神くん」

ストバスコートのベンチでボールを見ながら考えていると俺を呼ぶ声がした。
不意に顔を上げるとそこには水色が俺の前に立っていた。

「…黒子」
「どうしたんですか、こんな所で?」
「……」

お前の事、考えてたなんて言えねぇ…

「いや…なんもねぇよ」
「…そうですか」

それ以上は何も言わず、黒子は俺の隣に座った。
部活の帰りにいつもならマジバに寄るけど、今日はしなかった。
俺は駅で黒子と別れて、このまま帰るのもイヤで…ストバスコートに足を向けていた。

俺と黒子は付き合っている。
俺から告って、黒子もそれに応えてくれた。
まだ付き合って1ヶ月。つっても今までとそう変わらない付き合いだ。
部活して一緒に帰ってまたにマジバ寄って…違うとすれば2回だけ俺ん宅でキスをしたくらいだ。
そんな状態の時に青峰んとこと対戦した。
青峰は黒子に対しての態度はキツいようで、どっか求めてたように見えた。

「あれ?なんでお前ここにいんの?」

さっき駅で別れた事を思い出した俺は隣にいる黒子に声を掛けた。
黒子は目を見開いた後、目を伏せる。

「…今更ですね…」

大袈裟にため息を付いてから黒子は真っ直ぐに俺を見た。

「…君の様子がおかしかったので…駅で別れた後、引き返したんです。そしたら火神くんが電車には乗らずそのまま駅を出て行ったので、君のあとをつけました」
「……」
「火神くん、もし君が何か悩んでいるなら話してくれませんか?僕では頼りないかもしれないですけど…」

そう言って苦笑いする黒子。
……そんな顔させてぇ訳じゃねぇんだけどな……

「…わりぃ…お前が頼りねぇとかそんなんじゃねぇんだ…」
「……」
「…逆に頼りねぇのは俺だなって思ってさ…」
「…火神くん」
「……なぁ、黒子…お前、青峰と…」
「……」
「いや、やっぱ、なんでもねぇ!わりぃ、黒子!」

慌てて、立ち上がる俺を透き通ったサファイアの瞳で見上げてくる黒子。

「…火神くん」
「なんだよ?」
「……バカガミ」
「はぁ?!」
「まさかとは思いますけど…君は、僕と青峰くんが付き合っていたとか思っているんじゃないでしょうね?」
「なっ!?」

図星を突かれ、俺は思わず声がひっくり返った。

「…やっぱり……だから君はバカガミだって言うんですよ」
「あ、なっ、な、んで…??」

口をパクパクさせていると黒子はまた大袈裟にため息を付きながらその綺麗な瞳で俺を見つける。

「確かに青峰くんとは中学時代、光と影としてバスケをしていました。あの頃の青峰くんは本当に楽しそうにバスケをしていて…その笑顔を取り戻したい、楽しくバスケをしている姿をまた見たいと思ってます」
「……」
「でも、それはあくまで友人としてです。火神くんに対する気持ちとは全く違います。僕は火神くんが好きです。この気持ちを疑わないで下さい」

それはあまりにも真っ直ぐで…俺のど真ん中に入ってくる。

「…黒子」
「…火神くん」

背伸びして、両頬に手を添えられた。
その動きに少し屈むと黒子から軽くキスをされた。

「…まだ、疑ってます?」

上目遣いで俺を見るサファイヤの瞳。
綺麗すぎて、吸い込まれそうだ…

「…くろこ…」

俺は黒子の名前を呼びながら、肩に手を回し、抱き込んだ。
肩口に顔を埋めて、

「…ごめん、黒子…疑って…ごめん…」

小さい肩をギュッと強く抱きしめ、何度も何度も謝る。
小さい手が俺の背中に回ると、トントンと落ち着かせるように叩きながら、黒子は、はい、分かってます、大丈夫ですと俺の謝る言葉に答え続けた。

しばらく、そうしてると俺は随分、落ち着いた。
と思った途端、恥ずかしくなって抱きしめていた黒子の身体を引き剥がした。
突然の事で黒子は目を大きく開けて俺を見上げている。
水晶みたいに綺麗なブルー。

「火神、くん?」
「……っ、」

思わず目を逸らした。

「……俺…カッコわりぃ…」
「フフ…そうですね」
「おいっ!?」
「でも、そんな火神くんも好きですよ?」
「…っ?!」
「ヤキモチ…妬いてくれたんでしょ?…嬉しいです」

クスッと笑った黒子は俺の上着の腰辺りを掴んだ。

「かっこ悪いなんて事ないです。火神くんってヤキモチとか妬かないんだって思ってたからとても嬉しいんです。僕ばかりヤキモチを妬いているんだと思っていたから」

黒子がヤキモチ…?んな訳、ねぇ…だろ…?

「…う、ウソだ、ろ…?」

思わず声が洩れた。
その言葉に黒子は目を見開く。
そして何故か頬を膨らませた。

「…君は…自分がモテると言う事を自覚すべきです」
「は?モテる?誰にだよ??」
「……」
「つーか、お前の方こそヤキモチとか妬かねぇだろ?」
「君は僕をなんだと思っているんですか?」

服を掴んでいた手を離し、背伸びをしてその手を俺の頬に触れた。

「君は誰にでも優しいから僕は毎日気が気じゃないんです」
「…っ、だ…誰にでも優しいって…訳じゃねぇよ…」
「そうですか?」

クスクス笑いながら黒子は俺の頬を軽く抓る。

「…それにこれは秘密の話ですけど…青峰くんが好きなのは僕じゃないですよ?」
「へ?」
「今、彼自身も忘れているかもしれないですけど…彼は中学の時からただ一人の事を想っています、僕ではない誰かを…」
「…そぅ、なのか…?」
「えぇ、中学の時に一度だけ言っていたので」
「…マ…マジかよ…」

俺は抓っていた黒子の手を取り、項垂れるように黒子の肩口におでこを当てた。
クスクスと笑って黒子は俺の頭を優しく撫でる。

…ったく…俺は誤解してたんだな…
青峰と会って、俺は黒子の相棒じゃねぇって言われてショックで…その青峰の話をしたら黒子もどっかそわそわしてるように見えたから…
黒子と青峰はもしかしたら中学ん時に付き合ってたんじゃねぇかって…

でも、違った…
青峰には黒子じゃない誰かに片思いしてるし、黒子も青峰には仲間や友人以上の感情はない。

ホッとしたら…鼻の奥がツンとした。

「…火神、くん…?」

わりぃ…お前の服、濡らしちまって…

「…なんだかホッとしました。君も高校生なんですね」
「…ぅぅ…あんだよ、それ…」
「いえ、バスケをしている時や料理をしている時の火神くんは僕と同じ高校生には見えなくて…僕、ちょっと焦っていたんです」
「…焦る?」
「僕はどこにでもいる高校生だけど火神くんはどこか大人びて見えていたので…こうして泣いている君を見ると…ちょっと安心します」

すみません。と小さく笑いながら俺の背中を優しいリズムで叩く。
俺は鼻をズズってすすって黒子の肩口に涙を擦り付けた。


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