BL小説(銀魂・ワンピース・メジャー・黒バス編)

□【青黄】Happiness beyond birthday
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青黄

「嫌な予感しかしないんですが?」
「奇遇だな、黒子。俺もだぜ」

今、1番旬であるモデルの黄瀬涼太。
グラビアやショーはもちろん、ドラマやラジオと多方面で活躍するこのイケメンが今、火神のマンションのリビングで子供のように泣いている。
その黄瀬を前にして、火神は苦笑いをし、黒子は呆れるようにため息を付いた。

「うぅ…ぅ…ぐろごっぢぃ〜」

キラキラなイケメンが台無しになっている黄瀬は助けを求めるように黒子を見る。
はぁ〜…とまた大きなため息を付いた黒子は、それでも黄瀬の頭を撫で、

「今度は何をしたんですか、あのガングロは?」

と冷ややかな目をして問うた。



黄瀬涼太。言わずと知れたキセキの世代で、モデルとしても有名。
ガングロ…青峰大輝。彼もキセキの世代のエースにして、現在も日本を代表するバスケットボールプレイヤー。
その2人が出会ったのが中学2年の時。
青峰がボールを黄瀬の頭に当ててしまって、そのまま青峰の後を着いて行った黄瀬はバスケをしている青峰の姿に一目惚れ。
それまでなんでも見たら出来てしまうが故になんの張り合いもなく過ごしていた黄瀬にとって、青峰と言う存在は唯一、刺激を与えた。
中学3年から高校1年のWCまでは色々あったものの、そのWC後、青峰をストバスに誘って1on1した黄瀬が突然告白をした。
青峰は目を丸くしながらもOK。
それからの2人は順調というにはあまりにも喧嘩をし過ぎていたが、周りから言わせれば単なる痴話喧嘩にしか見えない。

「…黒子っち…ガングロとか言わないで欲しぃっス…」

冷ややかな目の黒子に黄瀬は目をキョロキョロしながら呟く。

「……喧嘩の原因を庇うとか…どれだけ惚れているんですか、キミは…」

呆れたようにため息を付いて、黄瀬から貰ったお土産のバニラシェイクに口を付ける。

「…喧嘩じゃねぇんス…」
「とにかく、話せよ」

口いっぱいに頬張ったチーズバーガー(こちらも黄瀬からのお土産)を飲み込んで火神が話を促す。

「…かがみっちぃ〜…」
「や、めろ!その目!犬みたいな目で俺を見るな!!」
「犬みたいな目ってどんな目っスか!?」
「いいから!話せって!」

脱線しかけたのを制する火神に黄瀬は言葉を詰まらせた。
そして…

「……青峰っちが……浮気してる…っス…」
「……え?」
「……は?」
「あ、いや、確信って訳じゃないっスけど…最近、青峰っちと全然会えないんスよ。連絡もあんまりないし…」
「青峰くんが連絡しないのは今に始まった事ではないじゃないですか?」
「前まではそうだったんスけど、付き合うようになってからはわりとマメに連絡してくれてるんスよ」
「…意外だな」
「…えぇ」
「それなのに、今月入ってからほとんど連絡なくて…俺も大学卒業して、バスケは趣味程度にして、本格的にモデルの仕事入れてるから前みたいに頻繁に連絡出来なくて…もしかしたら、その間に好きな女の子とか出来たんじゃないかって、俺…」

黄瀬は泣きそうになりながらとローテーブルに突っ伏す。
中学の頃からモデルを始めた黄瀬は自分がモテる事を自覚していた。
何をやっても勉強以外は見ればすぐ出来る。
容姿も悪くないどころかイケメンで、それを踏まえた上での言動と行動。
周りが放って置く訳もない。
そんな黄瀬が初めて心を奪われたのが青峰だった。
その青峰と付き合うようになって6年。
黄瀬から告白をして以来、黄瀬は青峰に好きだ、愛してるだと言葉にしているが青峰からそういった言葉はあまり言われない。
だから黄瀬は付き合っていても、常に不安があるのだ。

「……」

黄瀬の落ち込んでいる姿に黒子はため息を付いた。

「…黄瀬くん、あのガングロがそんな器用な事が出来ると思いますか?」
「……え?」
「青峰くんはバカだし、ヘタレですけど…君と言う恋人がありながら他の人間と浮気をするような器用な人間ではないですよ」
「ヘタッ…?!…そぅ、りゃあ…そうっスけど…」
「そうだぜ黄瀬。俺が言うのもなんだけど、あの野郎からはお前の事しか聞かないんだぜ?ノロケばっかでよ〜」

火神の言葉に黄瀬は目を見開いた。
あの青峰が自分の話をしている。
ノロケている。
その言葉がやっと頭に入ると黄瀬の顔は途端に真っ赤になった。
ボンと音が聞こえるくらいに…

「……」

黒子はそんな黄瀬を見て小さく微笑んだ。
元相棒は不器用だ。
そんな元相棒がノロケるくらいに黄瀬を好きだと黒子は知っている……中学の時から。
それはもううんざりするくらいに。
黄瀬は知らないんだろう。黄瀬にボールをぶつける前に青峰が黄瀬に一目惚れしたと言う事を…
今月は恋人にとって大切なイベントがあるのだから、もしかしたら彼は……

「黄瀬くん」
「…はぃっス…」
「待っていればいいと思います」
「え?」
「青峰くんの事、信じられませんか?」
「…あ、ぃや、信じてるっスけど」
「なら、信じて待てばいいんです」



「…って、黒子っちに言われたものの…全然連絡つかないってどういう事っスか、青峰っち…」

火神のマンションで話しをしてから2週間。
黒子に信じて待つように言われた通り、連絡をしながら返事を待つが青峰からはなく、それでも信じて待っていた。明日は黄瀬の誕生日だ。
しかも今年は日曜日で奇跡的にモデルの仕事も休みだった。
チラリと壁にかかっている時計を見るとすでに23時を過ぎている。

「…滅多にないんスよ〜誕生日に休みなんて…」

黄瀬はベッドにうつ伏せになり枕に顔を埋める。

「…青峰っち〜…」

ベッドの上でバタバタしていると枕元に置いてあったスマホが着信を知らせた。
画面も見ずにスマホを取り、タップした。

「もしもし?」
『おぉ、黄瀬か?』

相手の声を聞いた黄瀬は飛び起きて正座した。

「青峰っち?」
『おぅ、久しぶりだな』
「……」

連絡がつかなかったのが嘘のように青峰は普通に話しかけてきた。
思わず黄瀬は唇を噛む。

『…黄瀬、聞こえてるか?』
「……っち……で、な……ぅ…」
『え?』
「…青峰っち…ぃまま、で…何してた、っス…か?」
『………わりぃ』
「俺っ、ずっと連絡待ってたのに…なんで返事してくれないんっスか?!俺、ずっと不安でっ…ぅぅ…」

青峰の声を聞いて気が緩んだのか、心の中から溢れてしまった。
上手く言葉が紡げなくて、それでも想いを青峰に伝える。
黄瀬のそんな言葉を聞いた青峰は電話口でじっと耳を傾けた。

「…ぅ、青峰っちの…バカぁ…」
『……黄瀬』
「…ぅぅ…もぅ…青峰っ、ちなんか…キライっス…」
『…黄瀬…そんな事言うなよ〜…落ち込んじまうだろ俺が…』
「…ん〜…青峰っちなん、か、落ち込んだらいいんだぁ〜…俺だって、ずっと落ち込んでんだからぁ〜」

黄瀬はダムが崩壊したように泣いた。
それを青峰は黄瀬の名前を何度も呼んでは黄瀬が落ち着くのを待った。

しばらく泣きながら文句を言った黄瀬は少しだけ落ち着いたのか、静かになる。

『…黄瀬…悪かった…とりあえず、開けてくれねぇか?』
「……へ?」
『今、お前ん宅の前だから』
「…え?は?」

青峰の言葉に黄瀬は慌ててインターホンをオンにした。
するとそこには青峰の姿が…
黄瀬は慌ててセキュリティを解除し、玄関へ急いだ。
しばらくするとエレベーターから降りてきた青峰の姿が目に入り、青峰に向かって抱き着いた。

「うおっ?!」

突然抱きつかれた青峰は倒れないように黄瀬を咄嗟に抱きしめる。

「……黄瀬」

呼ばれた黄瀬の身体が震える。

「顔、見せてくれよ?」
「…ヤダ…」
「ったく…」

クッと喉の奥で笑う青峰はそのまま黄瀬を強く抱きしめながら黄瀬の背中をポンポンと叩いた。

「…とりあえず、部屋に入んねぇか?」

中々離れない黄瀬に青峰が囁く。
腕の中で黙って頷く黄瀬を確認して青峰は抱きしめたままゆっくりと歩き出した。
部屋の前まで来ると片手で玄関の扉を開け、中に入る。
後ろ手に鍵を掛けると青峰はもう一度声を掛けた。

「きーせー?顔見せろって」
「…イヤっス」
「顔見せてくんねぇとキス出来ねぇだろ?」
「……」

黄瀬はゆっくりと顔を上げた。
そこには青峰の優しい笑顔があった。

「…っ」
「きーせー?」
「…」

あまりに優しすぎる青峰の表情に黄瀬は思わず顔を背けた。
そんな黄瀬の頬に手を添えると青峰は顔を自分の方へ促し、軽くキスをした。
ちゅっちゅっと音を鳴らし、啄むようにキスを繰り返す。
気持ち良くなってきた黄瀬は足りないとばかりに青峰の肩に腕を絡ませた。
舌で青峰の唇にノックをすると少しだけ唇を開いた。
黄瀬はすぐさま舌を入れ、青峰の舌へと激しく絡める。
それに応えるように青峰も舌を絡ませた。

「…っ、んんっ…」

連絡がなくて寂しかった…青峰の声が聞けなくて…会えなくて…寂しかった…
黄瀬はそんな気持ちをキスに乗せて訴える。
激しい黄瀬からのキスに内心微笑む青峰はそれに応える。

「…っ、あおみねっ、…ちっ…」
「んっ…きせっ…」

キスをしながらゆっくりと2人は中へと進んで行く。
お互いに脱がせ合った服が廊下に点々と落とされていく。
寝室に入った頃にはもう纏っていたものは無く、そのままベッドへ身体を沈めた。
黄瀬に覆い被さった青峰が黄瀬を見下ろす。
ギラリと光る蒼に黄瀬の胸が高鳴る。

「…きせぇ…」
「……会いたかった…っス…」

本当に会いたかった。寂しかった。泣いてしまうくらいに…
青峰の両頬に手を添えた黄瀬の瞳に一筋に涙が零れた。

「…おま、え…」
「ごめっ…ぅっ…」

一度崩壊した涙腺は止まる事はなく、黄瀬は謝りながら微笑んだ。
黄瀬の泣き顔に青峰は喉を詰まらせる。
流れる涙に唇を寄せ、そこから顔中にキスをした。
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