BL小説(銀魂・ワンピース・メジャー・黒バス編)
□【青黄】俺だって嫉妬ぐらいすんだよ!
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「火神っちって優しいっスよね〜」
俺と黄瀬とテツと火神とでストバスしている時、黄瀬が不意に呟いた。
「はぁ?急に何言い出すんだ??」
言われた本人は訳が分からないのか首を傾げている。
俺だって意味が分からねぇ。
は?火神が優しい?何バカな事言ってんだ黄瀬?
俺までとは言わねぇが口はわりぃし、厳ついし、…まぁ、飯は食わしてくれっけどな…
「そうですよ、黄瀬くん。今更何を言ってるんですか?僕の火神くんですよ?優しいに決まっているじゃないですか」
しれっとした顔…なんなら、ちょっとドヤ顔をしながらテツが言った。
その隣で真っ赤になって慌る火神。
「いや〜…黒子っちが惚気けるとは思ってなかったっスわ〜」
言った本人が困ったように眉を下げて笑う。
「そうですか?」
「そうっスよ!黒子っちってノロケとかしないタイプだと思ってたっス!」
「僕だって火神くんを自慢したいんです。いつも黄瀬くんから青峰くんの自慢や惚気を聞かされているんですから」
…は?
「あ、やっ、黒子っち…!?」
「おい、黒子。それは言っちゃダメなんじゃねぇか?」
「は?どうしてですか?」
火神とテツが言い合いをしてっけど…え?は?黄瀬が俺の事…え?自慢、して、…る?
さっきのテツの言葉が頭ん中でグルグルする…
ふと黄瀬を見ると真っ赤になって俯いて、時々俺をチラチラ見てきた。
その顔に俺も釣られて顔が熱くなっちまう。
「……ハァ」
テツのでっけぇため息が聞こえて思わず身体がビクッてなった。
「青峰くん、黄瀬くん。そういうのは家に帰ってからにして下さい。はっきり言ってキモイです」
「こら、テツ!」
「僕だって火神くんと早く2人っきりになりたいのを我慢しているんです」
「黒子?!」
「そもそも僕らは今日、久しぶりの休日でやっと2人っきりになれると思っていたのに…君たちから誘われて、火神くんも嬉しそうだったから来たのになんなんですか?!」
……だいぶ溜まっていたのかテツがキレ出した。
こうなったら誰も手が付けらんねぇ。
「黒子、お前…」
火神は少し困った顔をして、
「…そんなにストバスすんの嫌だったか?俺がしたいっつったから…」
「あ、いえ…そういう訳では…」
「…お前は俺と一緒でストバスするの嬉しいんだと思ってたから…」
「火神くん…」
火神の言葉に我に返ったテツは落ち込んだ。
てか、なんだこの茶番は…
テツ…お前、人の事言えねぇな…
そういう事は家でやれってんだ…
「ま、まぁまぁ、黒子っちも火神っちもそんな顔しないで!ほら、2on2やるっスよー!」
空気を読んだ黄瀬がボールを持ってコートに入っていく。
頭を掻きながら俺はベンチから腰を上げ、着いて行った。
チラッと後ろを見ると火神がテツの肩を抱いてテツの頭に口を寄せている。
やられたテツは顔を赤くして俯いてて…はぁ…甘ったりぃ…火神ってそういうとこ、帰国子女なんだなって思うわ…
つーか、黄瀬のヤツも急になんなんだ?
火神が優しいとかなんだ?アレか?俺が優しくないって言いたいのか?
……まさか、黄瀬のヤツ…火神に乗り換える気か?!
優しくない俺より優しい火神の方がイイっつー事か!?
でも火神のヤツにはテツがいんだぞ?
それはお前も分かってるだろ?
………くそっ……面白くねぇ……
あれからしばらくして日が暮れたから解散となった。
機嫌の悪い俺にテツが声を掛けてくる。
「青峰くん」
「んぁ?」
「…大人げないですよ?」
「あぁ?」
思わず振り向くとテツは呆れた顔をしてデッカイため息をついた。
「黄瀬くんが火神くんを褒めたからって拗ねてるだけですよね?まぁ、火神くんが優しいのは当たり前の話なので黄瀬くんがそう思うのも仕方がない事ですけど」
…テツ…お前は火神を自慢しねぇと気が済まねぇのか…
「別に拗ねてなんかねぇよバァカ」
「君にバカなんて言われたくないです」
「あんだとコラッ!」
「青峰くん」
「…なんだよ」
「……ちゃんと黄瀬くんを捕まえていて下さいね?」
そう言ったテツの顔がなんだか冷たかった気がすっけど、気にしない事にした。
テツらと別れて、俺は黄瀬と一緒に駅へ向かった。
「ねぇ、青峰っち」
「ん〜?」
「な〜に、怒ってンスか?」
「別に怒ってねぇよ」
「ふ〜ん…じゃあ、拗ねてんだ?」
「バッ…拗ねてねぇよっ!」
「へ〜」
「…黄瀬」
「な〜に?」
「……お前…火神の方がいいのか?」
「はぃ?」
「…さっき、火神が優しいって言ってたじゃねぇか…」
「…え?は?なに?!ずっと不機嫌だったのってソレが理由だったんッスか?!」
「……っ!」
黄瀬に図星を突かれ、思わず視線を逸らした。
やたら、顔が熱い……くそっ…!
「……青峰っち……可愛いっ!」
黄瀬はパァと咲いた花みてぇに笑って、その顔も可愛いとかお前どんだけだよ!
「青峰っち!」
バッと俺の前に回り込んで両手で俺の頬を抓る。
「それでも俺は青峰っちが好きッスよ?」
人の頬を抓っておいて、そのキラキラした笑顔はなんなんだ!?
痛みなんか忘れちまうじゃねえか!
「俺はちゃあんと青峰っちが優しいことも知ってるから、大丈夫ッス!」
ね?と首を傾げる黄瀬。
……お前、どこまであざといんだよ!
「青峰っち!?」
俺の頬を抓るのを止めて擦る黄瀬の手を取り、電柱の影に引きずり込んだ。
バランスを崩した黄瀬は俺の胸に飛び込む形になる。
黄瀬を抱きしめて首筋を唇で軽く触れる。
「…なっ、ちょっ…、や、…」
「…黄瀬…俺の前で俺以外のヤツの事、褒めんな」
「…っ、え?」
「気分わりぃわ…」
「…っっ…それっ…ンンッ…」
黄瀬の言葉を遮るように唇を塞いでやる。
お前の思った通りだ。柄にもなく嫉妬しちまったんだ。
「…ん、んぁ、…」
キスの合間の黄瀬の吐息が俺の理性を飛ばす。
…黄瀬…
「ちょ、…んんっ、ぁおみ、ち…」
背中にある黄瀬の手が俺の服を引っ張る。
でも、俺はまだ黄瀬を感じていたくてしつこく舌を絡ませてると後ろから俺の髪を引っ張った。
「…ッテ!引っ張んな!」
「っ、いい加減にしろっ!ここどこだと思ってんだよ!」
「……あ、」
黄瀬は顔を真っ赤にして俺を睨んでる。
……そう言えばここ外だったわ……
「…とりあえず」
黄瀬は少し俺から離れて、
「……続きは家に帰ってからにしよ?」
とだけ言って踵を返した。
俺は頭を擦りながら軽く舌打ちし、黄瀬の耳が真っ赤になってるのを見て口角を上げた。
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