BL小説(TIGER&BUNNY編2)

□【虎兎】もう一度初めから・・・
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2部リーグで活動しているタイガー&バーナビーは今記憶を失くしている。
お互いに気持ちを通じ合わせた2人だがその事を全く覚えていない。
2人の記憶は付き合う前の状態。
つまり出会ってしばらくした時期でバーナビーが虎徹に対してやっと"虎徹さん"と名前を呼び始めた辺り。
虎徹の能力も5分あった頃だ。実際には1分しかないのだが。
アポロンメディアはその2人に違和感を与えない為、一時的に1部リーグに復帰させたかったが司法局がそれを拒否。
犯人の能力を浴びた2人はいつ元に戻ってもおかしくないからとの理由で。
アレキサンダー・ロイズはまた胃に穴が開くと頭を悩ませた。



「俺ら、な〜んも変わってねぇよな?」
「そうですね。何故この僕が2部リーグにいなければならないのかが不明です。」
「だよな〜。俺だってそうだよ。」
「何を言ってるんですか?貴方なんて今能力1分でしょ?」
「うっせー!」

虎徹は口を尖らせて拗ねる。
そんな虎徹を冷たい視線だけを送り、バーナビーはため息をついた。

彼らは今、ゴールドステージにあるバーナビーの部屋で飲んでいた。
ここ数日の周りからの接し方がおかしいとお互い思うところがあって2人で飲もうと言う事になった。

「とにかく整理をすると・・・僕たちが思っているより時間が進んでいますよね。それに僕たちは一度ヒーローを引退している。」
「あぁ。そうなんだよな〜。俺らからしたらいつの間にって感じだし・・・能力1分って・・・」
「だから今まで以上に能力発動のタイミングなんかも考えないと行けないんですよ?」
「わーってるよ・・・」

虎徹はフローリングに寝転がる。
そのままバーナビーを見て何か忘れてる事に気づいた。

・・・なんだろ?
な〜んか足りねぇんだよな〜・・・?

不意にバーナビーと目が合った。
2人の間に静寂が生まれる。
そしてお互いが引きつけ合うように近づくと唇が重なった。
啄ばむようなキス。
男同士で何故?と虎徹もバーナビーも一瞬だけ掠めた想い。
だが唇の感触がそんなつまらない事はどうでもいいとばかりに口づけを交わした。
どちらかともなく舌を差し入れてくちゅくちゅと音を立ててキスをする。

「・・・ンんっ・・・」
「ンっ・・・」

バーナビーの柔らかな髪に手を差し入れて引き寄せ、もっと奥へと・・・
虎徹に覆いかぶさり、バーナビーは足を虎徹の足の間に入れた。
膝で虎徹の股間を刺激し、虎徹の髪を両手で掻く。
甘い吐息が零れて夢中で舌を絡めた。

「・・・はぁっ・・・」

透明な糸が2人の唇を繋いでいた。

「・・・こんなの、おかしいよな?」
「そう・・ですね・・・」

言葉とは裏腹にまたキスをする。

「でもさ・・・すげぇ気持ちイイ・・・」
「・・・そうですね・・・」

2人は何度かキスをして額を合わせクスリと笑った。

「・・・なんだろ、これ・・・?」
「なんでしょう・・・?」

虎徹は自分に覆いかぶさっているバーナビーを反転させて押し倒す。

「・・・お前は相棒で・・・男なのに・・・こうなるのが・・・自然っつーか・・・」

見下ろした金色の髪がパサリと床に広がっているバーナビーに目を奪われる。
頬も顔もピンク色に上昇し、エメラルドの瞳も少し潤んでいる。
今の虎徹からすれば、やっと名前を呼ばれるようになっただけで関係はあまり変わってないと思っている。
それなのに見下ろしたバーナビーには色気すら感じ、欲情している自分に驚いた。

「・・・虎徹、さん?」

湿った唇から紡がれる名前。
その声にすら欲情した。

「・・・バニィ・・・」

掠れる声。
バーナビーも虎徹の声に欲情した。
低く耳を犯されるような色のある声に。
恐る恐る虎徹の頬に手を添える。
琥珀色の瞳が自分を欲してるように見つめられてバーナビーは腰がズシリと重くなるのを感じた。
惹きつけられるように唇が重なる。
キスの合間に漏れる吐息でお互いの欲が引き出される。
もう後には引けない。引いちゃいけない。
頭の中で警告音が鳴り響く。

「・・・ンんッ・・・」

しかし、お互いの身体が相手に反応し過ぎて止める事が出来ない。
虎徹はバーナビーを抱きしめ、スルリと服の下の肌に触れる。
少しひんやりする肌は手に吸いつくようで虎徹は服を捲り上げながら這っていった。
が外気に晒されバーナビーは震える。
虎徹の暖かい手が欲するように触れている事に快感を覚えた。
こんな風に触れた事がないのにまるで身体が覚えているみたいに2人はお互いの服を脱がし、身体を重ねた。



次の日。
虎徹とバーナビーはいつものように出勤した。
経理の女史がいつもの2人の様子に驚いて慌ててロイズを呼んだ。

「元に戻ったんだね君たち?」
「「・・・は?」」

ロイズの言葉に今度は2人が驚いた。
ロイズの話によるとどうやら2人が記憶を失っていたらしい事が分かった。

「この間のひったくりのヤツNEXTだったって事っすか?」
「そうなんだよ。記憶を無くす能力だったんだよ。君らにはその自覚はないらしいけどね。
もしあのままならこっちはどうしようかと悩んでいた所だよ。」

ロイズは眉を下げて胃の辺りをさすっている。
虎徹は申し訳なさそうな顏で頭を下げた。

「記憶が戻ったと言う事は時間制限があったって事なんでしょうか?」
「そういう事ではないみたいだよ?」
「じゃあ、何故?」
「それが解読出来てないんだよ。」
「・・・・・そうですか。」
「バニー?なんか思い当たる事でもあるのか?」
「いえ。」
「そ。」
「とりあえず元に戻ったのなら良かったよ。」

ロイズは心底安心した顏をしてヒーロー事業部を後にした。

「それにしても2人とも元に戻って良かったわよ。」

愛想は悪いが心配していたらしい女史が2人に声をかける。

「ご心配お掛けしました。」
「結局、解除方法は分からなかったわね?」
「そぅすね。」
「案外簡単な方法だったりしてね。」

女史は口角を上げて笑った。
その微笑みに何故か冷や汗を流す2人。

「・・・まぁ、いくらアンタ達が仲良いからってね〜・・・」

フンと鼻で笑って女史はまた液晶に目を移した。
虎徹とバーナビーは目を合わせ、苦笑するとそれぞれ目の前の仕事に目を向ける。

ーーーあながち私の考えも当たらずとも遠からずかもしれないわねーーー

女史は2人のヒーローを盗み見ては小さく笑った。
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