BL小説(TIGER&BUNNY編2)

□【虎兎】☆小話3本
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【俺の親友と相棒の話】

…ほんと、勘弁してくれ…

今日は久しぶりに虎徹と飲もうと誘ったら、当然のようにバーナビーも連れてきた。
いや、別にそれは構わない。
寧ろ、バーナビーがいてくれた方が酔っぱらった虎徹を送らなくて済むからな。

…しかし…

「バニー、ほら〜また口に飯ついてるぞ?」
「取って下さい」
「ったく〜、バニーは甘えん坊だなぁ〜」

虎徹がニヤついた顔をしてバーナビーの口元についた飯を指で掬ってパクッと自分の口ん中に入れた。
それを恥ずかしそうに笑いながら見るバーナビー。

…いやいやいやいや…そこで照れるのおかしいだろバーナビー?!
虎徹もまんざらな顔してんじゃねぇよ!!

こいつらが仲のいい相棒同士だってのは分かってる。
そうなるまで、色んな事があったのを俺は知っているが…

それにしても仲良すぎじゃねぇか?

「ばにぃ〜」

甘えるような声を出した虎徹がバーナビーの肩に頭を乗せる。

「もう酔ってしまったんです?」
「ん〜…ちょっとだけ肩貸して?」
「はいはい」

クスクス笑いながらバーナビーは虎徹の頭が乗っかってる肩を動かさないようにした。

「すみません、バイソンさん」
「へ?」
「この人、今日の取材で張り切りすぎちゃって…」
「へぇ…珍しいなぁ」
「はい。今日の取材の方がレジェンドのファンの方で」
「あぁ…なるほど…そりゃテンション上がるよな」
「そうなんですよ。それで取材前からとてもその方と意気投合してしまって…」
「それなら俺の誘いなんか断れば良かったのにこいつ」
「えぇ…まぁ」

そう言ってバーナビーは虎徹を優しい眼差しで見ていた。

…おいおい…嘘だろ?バーナビーが虎徹を??

「虎徹さんが」
「ん?」
「虎徹さんがたまにはあなたと飲みに行かなきゃって」
「んん?」
「最近付き合いしていないし、あなたの事は凄く大切な友人だからと」
「…虎徹ぅ…」

ふと虎徹を見て涙ぐみそうなる俺。

チクショー…泣かせるような事言ってんじゃねぇよ…

「…羨ましいですよ、学生時代からの親友って…」
「バーナビー…」
「僕はそういった友人を学生の頃は敢えて作りませんでしたから」
「………」

そうだったな…
こいつはちっちぇ頃に両親を殺されて、その犯人を捕まえる為に人生捧げてきたんだったなぁ…

俺はおもわずバーナビーの頭に手を置いた。

「…バイソンさん?」
「…頑張ったな、お前」

バーナビーの頭を撫でながら笑うとバーナビーは少しだけ驚いた顔をした。
そして、目を伏せて頷いた。

「……おい」

バーナビーの肩口に頭を置いていた虎徹が地を這うような低い声を出した。
ゆらりと起き上がると俺を睨み、バーナビーの頭を撫でていた手を払い除けた。

「…俺のバニーに触んじゃねぇ」

今までに見た事もないくらいに怒っている虎徹を見た。
…つーか、え?…なんて?…"俺のバニー"?

驚いて声も出せずにいる俺を睨んでいる虎徹。
それをバーナビーが慌てて虎徹を止める。

……なんだこれ?
これじゃあまるで虎徹の恋人に手を出した俺が虎徹に怒られてる感じじゃねぇか?

「……俺、帰る……」
「あ、ちょっ、虎徹さんっ!?」

起ちあがり虎徹が店の出口へ向かう。
それを追いかけるようにバーナビーも起ち上がるが俺に気付き、

「すみません、バイソンさん…とりあえず、これ…」

ポケットから数枚の紙幣をカウンターに置くとバーナビーは頭を下げてから虎徹の後を追いかけて行った。

俺は2人が出て行ったのを確認すると大きく息を吐いた。

「…どうなってんだ?」

あいつら、相棒じゃないのか?
バーナビーはバーナビーで虎徹の事を優しくっつーか、愛おしそうに見るし…
虎徹は虎徹で俺がバーナビーの頭を撫でただけで"俺のバニーに触るな"って怒った…

「…あいつら、まさか…」

付き合ってるとかじゃねぇよな?

それなら最近のヤツらも納得がいく。
相棒の距離感じゃなかったもんな…

「…そうか…虎徹…」

良かったな…
嫁さんが亡くなってからそういう事には目もくれなかったもんな…
誰も自分のテリトリーには入らせないって頑なだったもんな…

それをバーナビーが変えた。

男同士だからなんて、そんなちっぽけな理由であいつらを偏見な目で見ねぇよ。

俺は親友がそういう相手にまた巡り合えたって事が嬉しいんだ。

だから…

「マスター、おかわり」

今日はあいつらの幸せを願いながら、1人酒を楽しむ事にしよう…




おわり


2015.1.7
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