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□俺だけ見てろ
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「…それでね、へっくんがね!」
楽しそうに話すビュティ。
それを相槌を打ちながら聞くボーボボ。
「…で、首領パッチがピエロになって暴れ出した訳だな」
「そうなの!そしたら天の助君がそぼろで…破天荒さんがピヨって…」
傍から聞いていると、全く訳のわからない会話だと思う。
でも、この世界では普通のことだったりする。
「…ふう、ごめんね、今日も話しすぎちゃったかな」
「いや、面白かったぞビュティ」
サングラスで表情は読めないが、口元だけは確かにほほ笑んでボーボボが言う。
「ビュティは本当に話すのが好きだな」
「うん!だって皆の日常生活を見てると楽しくて、誰かに喋りたくてたまらないの」
「日常生活か。そういえばあまり戦闘の時の話はしないな」
「…うん。楽しいときもあるけど、やっぱり皆が傷ついた時の話はあんまりしたくないな」
「そうか。…優しいな、ビュティは」
ボーボボがビュティの頭を撫でる。
えへ、と笑ったビュティはとても嬉しそうだった。
「…まあ、日常生活で皆を見るのは構わないが」
ボーボボがビュティの耳元に口を近づけた。
「戦闘中は、俺だけ見てろ」
そう囁くと、ボーボボはすぐにビュティから離れて、じゃあ戻るか、と去って行った。
さっきのボーボボの発言に、深い意味はなかった。
ボーボボ自身、面白いから見てろという意味で言ったのだが、
ビュティの頬は紅潮していた。
(…俺だけ見てろ?…ま、まあ…ボーボボのことだから深い意味はないんだろうけど…
見ててほしい、って思ってたりするのかなあ)
ビュティは一人で妄想をし、その妄想の恥ずかしさへの照れ隠しのため、ふふっと笑った・