「おお振り」×「ダイヤのA」

□再会!その9
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「そう。やっと決めたのね。よかった。」
青道高校副部長の高島礼は、心の底からの安堵したようだ。
監督の片岡は頷いただけだったが、かすかに目元が笑っている。
それを見た沢村は、周囲に心配をかけていたのだと今さらのように思い知った。

「お前、御幸先輩が好きなんだな。」
三橋のいない三橋の部屋で、沢村は阿部に悩みを打ち明けた。
それを聞いた阿部の第一声がそれだったのだ。

オレが御幸先輩が好き?
それってまさか。。。恋愛って意味で?
動揺する沢村に、阿部は「オレの秘密、教えようか」と言い出した。
とりあえず訳がわからないまま、沢村はコクコクと頷いてしまったのだが。

「オレは三橋が好きなんだ。だからお前がうらやましい」
「・・・は?あ?えええ〜!?」
「声がデケーよ!」
心を見透かされた後の、阿部のカミングアウトに沢村の動揺は止まらない。
だがここで大声を出しては、三橋家に迷惑になるということだけは理解できる。
何とか声を抑えた沢村は、興奮で荒くなった呼吸を整えた。

「オレと三橋が一緒にいられるのは、あと4年だけだ。」
「別に草野球とかでも、バッテリー組めるんじゃ」
「オレは家業を継ぐし、三橋は群馬のジィちゃんとこに就職する。」
「・・・それでもたまに会ったりとか」
「オレんちの家業は休みも不定期だ。何か月に1度会えるかわかんねーよ。」

阿部の口調はどこか諦めていて、サバサバしている。
だが完全に割り切れてもいないようだ。
4年間限定の恋愛。それは長いのか、短いのか。
阿部と三橋の4年と、御幸と沢村の不確定な未来。
果たして幸せなのは、どちらだろう。

「だからお前がうらやましいよ。好きな人と同じ職業につけるんだから。」
阿部が最後にそう告げた言葉だけは、嘘偽りのない本音だ。
それで答えは出なかったけれど、迷いだけは消えた。
ずっと夢だったプロ野球で、少しでも長く御幸と。
その決意を固めた沢村は寮に戻り、真っ先に監督室に向かう。
そして片岡と高島にプロ志望届を出すと告げたのだった。

「頑張ってね。応援してるからね。」
「あざっす!」
高島の気が早いエールを送ってくれる。
沢村は元気よく頭を下げると、監督室を出た。
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