「おお振り」×「ダイヤのA」

□再会!その8
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「お前、どうしたんだよ。」
阿部はそう問いかけながら、この状況に困惑していた。
三橋がいない三橋の部屋で、なぜこの男と向かい合っていなければならないのだろう。

三橋の部屋での日課の勉強会も、今日は休みだった。
理由は田島が三橋を野球観戦に誘ったからだ。
三橋から「行って、いい?」と聞かれて、阿部は了承した。

本当はそんなことをしている場合じゃない気がする。
だが実は三橋に言われる前に、田島から頼まれていたのだ。
三橋を気分転換に誘うから、1日だけ休ませてやってほしいと。
それはつまり田島から見て、三橋には休養が必要と思えたということだろう。

阿部だって、三橋が揺らいでいるのはわかっている。
今の三橋では到底無理な大学を目指せと、半ば命令のように勉強させているのだから。
早々に三橋の手が届く範囲の志望校を決めた方がいいのかもしれない。
だが今はどうしても諦めたくなかった。
六大学でバッテリーを組むという夢を、まだ追いたかったのだ。

とにかく三橋不在の日、阿部も休養日にしようと思った。
家で1人、のんびりとすごすつもりだったのだ。
だがこの日の阿部は、まったく予定と違う行動をすることになる。
発端はとある電話だ。
珍しく家の電話にかかって来て、母に「電話よ」と取り次がれた。

それは三橋の家、つまり三橋の母からだった。
そのおかげで阿部は自転車を飛ばして、三橋の家に急行するハメになったのだ。
三橋母は突然のことに困惑したのか、玄関前で阿部を待っていた。
そして阿部の姿を見ると、ホッとしたような表情で大きく手を振った。

「ごめんなさいね。突然呼んで」
「いいえ」
「廉もいないし、どうしていいかわからなくて」
「大丈夫です。」

三橋母との短いやり取りの後、阿部は三橋の部屋に通された。
待っていたのは、沢村だった。
かつて練習試合をした東京の強豪校の投手。
阿部とはさほど付き合いはなかったが、三橋とは仲が良かった。
メールのやり取りをしたり、時にはここに泊まりに来たりしていたと聞いている。

「お前、どうしたんだよ。」
阿部はそう問いかけながら、この状況に困惑していた。
三橋がいない三橋の部屋で、なぜこの男と向かい合っていなければならないのだろう。
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