「おお振り」×「ダイヤのA」

□再会!その10
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「ス、スゴイ!!」
三橋は思わず声を上げ、阿部も「そうだな」と頷く。
テレビの中で、知っている名前が何度も連呼された。
そして彼の未来が、抽選で決まろうとしている。

三橋と阿部は、三橋邸のリビングにいた。
阿部は毎日のように三橋邸を訪れ、一緒に勉強する。
だけどそれは三橋の部屋で、リビングに入ることはない。
ではなぜ今日はリビングかというと、特別な日だからだ。
2人はリビングのテレビをつけて、じっと待っていた。

程なくして始まったのは、プロ野球ドラフト会議。
今日は年に一度の、ドラフト会議の日なのだ。
もちろんプロ志望届など出していない三橋たちには関係ない。
だが今回は、知り合いがプロになる瞬間を見られるかもしれない。
かつて練習試合をして、仲良くなった青道高校の沢村と降谷だ。

「栄純、君。プロ、に、なるかな?」
「なるんじゃねーの?スカウトが来てたんだろ?」
番組が始まると、すぐに最初の指名が始まった。
三橋は自分のことのようにドキドキして、ギュッと拳を握りしめる。
だがそれを見た阿部に「手。傷でもついたらどうすんだよ」と注意され、慌てて拳を開いた。

「第1回選択希望選手。降谷暁。投手。青道高校。」
司会進行役がまず読み上げたのは、降谷だった。
堂々の1位指名。三橋は「降谷、君、だ!」と声を上げる。
阿部が「御幸先輩と同じチームか」と呟く。
青道バッテリーの復活。この瞬間そう思ったのは阿部だけではないだろう。

「第1回選択希望選手。降谷暁。投手。青道高校。」
司会進行役が、再び降谷の名を読み上げた。
指名がかぶったのだ。今度は違うリーグからの指名。
1位指名がひと通り発表された後、降谷を指名した2チームの代表が出て来た。
三橋は「ス、スゴイ!!」と声を上げ、阿部も「そうだな」と頷く。
そして降谷の未来が、抽選で決まる。

「いつも思うんだけど、他人にクジ引かれて人生決まるってどうなんだろうな。」
「そ、だね。オレ、なら、自分で、引きたい。」
抽選で決まるなら、せめて自分で引きたい。
そう思うのは、おかしいだろうか。
三橋が自問している間に抽選が終わり、2人のうちの1人がガッツポーズをしている。

栄純君は御幸先輩のところに行きたがってた。降谷君はどうなんだろう?
三橋はふとそんなことを思う。
1位指名が2球団、抽選。そして決まった球団。
それを見て降谷は今、何を思っているのだろう。
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