「アイシールド21」×「図書館戦争」

□第3話「挑発」
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「やっぱりすごいなぁ」
セナは戦闘職種の男たちの迫力に、圧倒されていた。
こちらはいくらチャンピオンともいえども学生、プロの凄さを見せつけられたと思った。

関東図書基地の奥多摩訓練場。
泥門デビルバッツは、入口から実際の施設まで独特の方法で登ってきた。
使えるモノは何でも使う、山登りもタダではしない。
ある者は台車を押し、またある者は猛犬や銃に追い立てられながら、ようやく訓練施設に到着した。

一方の図書隊員たちは、至って静かに山を登っていく。
いささかこちらの登山に引き気味のようだが、それ以外は普通だ。
しっかりした一定の足取りで、息も上がらない。
まだまだ成長途中の高校生とは違い、しっかりと身体ができ上がっているのだ。

訓練場に到着し、必要な荷物を解いたところで、合同訓練が始まった。
ランニングやストレッチ、腹筋や腕立てなどなど。
職種に関係ない基礎的なトレーニングは、一緒にする。
その後は別れて、それぞれの訓練という予定だ。
当面は毎日それを繰り返し、後は臨機応変にメニューをアレンジしていこうということになっていた。

基礎訓練でも、図書隊は軽く泥門デビルバッツを上回った。
腹筋や腕立ては、こちらの何倍もの回数を顔色1つ変えずに楽々とこなす。
驚いたのは、1人だけの女性隊員が同じメニューをこなしていることだった。
部員の中にはせめて彼女よりは上回ってやろうと躍起になった者もいた。
だが誰もかなわず、結果ペースを乱す結果となった。

「やっぱりすごいなぁ」
セナはポツリと呟いた。正直、羨ましいと思う。
どうしても身長も体重もなかなか増えないので、試合では当たり負けが多いのだ。
もう少し力があればと思ったことは数知れない。

「テメーの武器はそこじゃねえだろ。」
いつの間にか隣に立っていたヒル魔が、ツッコミを入れてきた。
セナは「わかってますよ」と苦笑する。
スピードが武器であるセナは、ゴリゴリにゴツくなったら困るのだ。
それでも屈強で強靭な身体には、やはり憧れる。

「集まって〜!」
セナは邪念を振り切るように声を張った。
泥門デビルバッツの面々が「はい!」と答えて、集まって来る。
セナは整列した彼らを見回すと、気を引き締めた。
主将として、弱気になった顔は見せられないのだ。

「ラインは十文字君について。バックスはボク。それじゃ別れて!」
セナは指示を飛ばすと、ゆっくりと歩き出す。
図書隊員たちの視線を感じたが、気に留めている暇などない。
せっかくの合同訓練、限られた時間を無駄にしたくなかった。
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