自由3題
□僕はもう自由
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男同士の恋愛の終着点って、どこなんだろう?
吉野千秋は、最近よくそんなことを考える。
きっかけは最近増えた友人の結婚の通知だ。
30歳目前になって、彼らはバタバタと先を争うように結婚していく。
特に年齢差が少ないカップルは、その傾向が強いように思う。
やっぱり女は30歳前にという意識があるようだ。
何となくわからないこともない。
男女のカップルには結婚というゴールがある。
そして子供を作って、家庭を作る。
では男同士のカップルは?
もっと言うなら自分と羽鳥はどうなるのだろう。
今はまだいい。
恋に堕ちたばかり、ラブラブと言ってもいい時期だ。
いや?ラブラブという雰囲気はないかもしれない。
何しろ恋人になる以前に、幼なじみで漫画家と編集者。
腐れ縁要素が多すぎる。
でも羽鳥のことを想う気持ちはある。
羽鳥も自分のことを大事にしてくれていると想う。
だけどその気持ちはいつまで続くんだろう。
歳を取って、容貌も衰えて、セックスにも興味がなくなる時がくる。
籍も入れられず、子供も持てない2人。
世の中に「婚姻届」はあっても「恋人届」なんかない。
つまり記録の上では、どこまでも他人なのだ。
そんな縛りのない自由な関係。
2人の愛情は、どこまで続くのだろう。
気持ちだけで永遠に繋がっていられるのだろうか?