「アイシールド21」×「図書館戦争」

□第9話「模擬戦」
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「俺たち、カッコ悪いな」
手塚は汗を拭きながら、そう言った。
郁はドリンクを飲みながら「わかってるじゃん」と答えた。

セナたちとの模擬戦に負けた。
この後は10分ほど休憩した後、特殊部隊の別の先輩たちと組み、また違う相手と模擬戦だ。
汗を拭き、水分を補給して、呼吸を整える。
だがやはり雰囲気は重かった。
この勝負は完璧に勝ちにいったのだ
それなのに、あっさりと抜かれたことが悔しかった。

「これが検閲抗争なら、本を取られてたよな。」
「そうだね。」
「まさか上に飛ぶとは」
「その前にあたしに身体を当てた勢いで、加速してターンした!」

手塚と郁は敗因を語り合い、ため息をついた。
何だかんだ言っても、今回は勝てると思っていた。
アメフトの基本的な動きも習ったし、この模擬戦のコツも掴んだと思った。
その上で本気でやれば、勝てると思ったのだ。

「これもいい経験だよ。」
「お前たちは、自分より年下のヤツに負けたことがないだろう?」
小牧と堂上が、会話に入ってきた。
手塚と郁は顔を見合わせると「確かにそうかも」と頷いた。

手塚は文武両道のエリートであり、郁も図書隊に来なければ実業団入りも可能なアスリートだった。
防衛員としては同期の中ではトップ。
特殊部隊の先輩に扱かれているので忘れがちだが、後輩に負けた経験はほぼないのだ。
だからこそ高校生に負けることが、思いのほか堪えているのだった。

「それに手塚は」
「わかってます!」
小牧の言葉を、手塚は遮った。
セナとヒル魔の関係を知って、どこか彼らを自分とは違う種類の人間と思っていた。
同性で恋人同士になるヤツらなんてと、無意識のうちに下に見ていたのだ。
そんな邪念が入ったら、絶対に勝てない相手なのだと思い知らされた。

「堂上班でセナ君たちとまたやるのは、明日の最終日で終わりだと思うけど」
「「そのときは負けません!」」
郁と手塚の声が揃ってしまい、小牧が笑い出した。
堂上も思わず吹き出すと、手塚と郁の頭をわしわしとなでた。
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