天狼の彼方
□第24章 巡る日々
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昼休み、佐和はキョロキョロとその姿を探した。
教室には見当たらない。
きっとあそこだ…
廊下を早足で駈け、校舎を出て体育館に向かった。
ボールの弾む音がした。
「アキ!館山先生が呼んでるよ。」
「おー。」
シュートを打とうと構えていた彬従はボールを下ろした。
「やっぱり体育館にいたのね。」
佐和はクスクスと笑った。
「ここが一番落ち着くんだ。」
ダムダムとボールをつき、構えて膝を使いシュートを打った。
パツンと音を立て、ボールがネットを揺らした。
「佐和も打ってみて。」
彬従はボールをパスした。
「もう届かないよ。」
そう言いながら、佐和は受け取ったボールをリングに目掛けて打った。
ボールはサクッと飲み込まれた。
「佐和のシュートフォーム、すげぇきれいだよ。」
彬従はニコニコと笑った。
「一年の頃、女子バスケ部と一緒に練習してて、いつも思っていたんだ。」
「続けたかったな…バスケ…」
佐和は怪我が原因でプレイを諦めたのだ。
「この前…ごめん。」
うつむいて彬従はポツリと呟いた。
「この前…って何だっけ?」
佐和はキョトンとした。
*