山田センパイ

□第14章 どっちにするの?
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金曜日午前9時13分。

桃香は目の前に広げた作業に取り掛かれずにいた。



「信頼できるパートナーが欲しいんだ。」



理の言葉が頭から離れなかった。

仕事上のパートナーに決まっている。

立ち上がったばかりの営業所の事務管理者が足りなくて困っていると、島津部長も話していた。

仕事でもいい。

この先も一緒に居られるなら…



「そろそろ出掛けたいんだけど、資料は作ってくれたのかな?」

桃香のデスクに肘をつき、松坂が拗ねた顔をした。

「ご、ご、ごめん!すぐに用意するから!」

桃香は慌てて書類をかき集めた。

「悩み事?俺で良ければ相談に乗るぜ。」

「松坂…」

すぐ横で微笑む松坂の目を桃香は見ることが出来なかった。

「そうだ、俺の4時からの面談無くなったから。」

「部長から聞いてる。」

「…理の壮行会しような。」

「うん…」

松坂は目を細めてうつむく桃香を見つめた。

「…私が中国に行くのは有りかな。」

「ダメだよ。」

「でも!」

「営業一部から二人もいっぺんに出来のイイ社員に抜けられたら困るよ。」

「私…染谷についていきたい。」



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