奥さまは子猫チャン

□第13章 大丈夫です
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体育祭が終わってから、私の周りは一変しました。国内でも有数の大企業、桂グループの御曹司・桂義臣さんと私が結婚したことが学校中に知れ渡ってしまったからです。

廊下を歩いていると、「えーっ!あの人が?ウソーっ!」「なんで、あんな子が?」とわざと聞こえるように私の噂をし、誹るように嗤う声が降り注ぎます。

クラスに戻ってもそう。今まで親しかった友達が急に冷たくなり無視するようになりました。嫉妬の感情が、あっという間に私を孤立させたのです。

友莉は相変わらず一緒に居てくれます。でも、杏ちゃんと麻美ちゃんは体育祭のあとから口をきいてくれません。お弁当も別々に食べるようになりました。

「はあ……」

気が重くて、お昼のお弁当も半分くらい食べてそれ以上箸が進まない……でも残して帰ったら中尾さんに理由を尋ねられます。言えません、言ったら凄く心配するでしょう。がんばって食べなきゃ……

「もう要らないの?だったら私にちょうだい!」

「自分のお弁当、全部食べたのにまだ入る?」

「うん!美味しいー、紗菜子のお弁当は最高ね。」

友莉がお弁当の残りを一緒に食べてくれました。きっと気遣ってくれるのです、うううっ。



ホームルームの時間になり、クラス担任の毛利先生が教室にやってきました。

「期末テストが終わったら個人面談を始めます。都合の良い日にちを申込用紙に記入して金曜日までに提出するように。保護者の方もなるべく参加してもらってください。進路について、まだ決まっていない者、悩んでいる者は備考欄に記入しておくようにね。」

ああそうだ、期末テストもあるんだ。落ち込んでいる場合じゃないわ。

「いいわねぇ紗菜子は。桂グループの御曹司と結婚して玉の輿だもの、進路の悩みなんか無いわよねぇ。進学もしないんでしょ?」

斜め前に座っている麻耶が振り向きクスリと笑って私を睨みます。周りの子達もチラリと視線を向けクスクス笑います。

「私は進学するわ。将来父の会社を継ぐつもりだから。」

「あら?あなたのお父さまの会社は桂さまが買い取られたのでしょ?奥さまのご実家が貧乏だなんて、桂さまも大変ね。」

そんなことまで知られているんだ……どんよりと心が沈みます。

「そこ、関係無いお喋りは慎みなさい。」

毛利先生からお叱りの言葉が飛んで来ました。麻耶は前を向いてそばに居る子達とヒソヒソ噂話を続けます。



なんでこんなことになっちゃったんだろう……



「紗菜子、気にするんじゃないよ。やっかみが落ち着いたら、みんな元に戻るわよ。」

「ありがとう、友莉……」

友莉に励まされ、私は笑顔を作りました。気にしない、気にしない!



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