奥さまは子猫チャン
□第14章 私が保護責任者ですが何か?
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義臣さんの胸の中でひとしきり泣いていっぱい甘えたら、心も落ち着いて元気が出ました。
次の日からは冷たい態度にもめげず、今までのように自分から声を掛け友達に関わっていくようにしました。そうしたら、以前のように私に話しかけてくれる友達も戻ってきたのです。
だけど、杏ちゃんと麻美ちゃんはなかなか口をきいてくれません……
「ねえ、前みたいに一緒にご飯食べようよ。」
お昼休み、思い切って二人を誘ってみました。麻美ちゃんはパッと笑顔を浮かべたのですが、すぐに杏ちゃんの様子を伺い、そして杏ちゃんは……ムッとしたままです。
「行こう!」
そう言って、杏ちゃんは麻美ちゃんの手を引っ張って麻耶達のところへ行ってしまいました。
「杏ちゃんは怒ると長いもんね。」
呆れたように友莉が呟きます。怒るって、私に?理由があるなら聞いて、謝れるものは謝りたいのに……
期末テストまで毎日友莉と桂のお屋敷で勉強をしました。お夕飯も一緒に食べて、たまに早く帰って来る信成さんとお喋りしたり、お勉強をみていただいたり……意外にも?信成さんは教えるのが上手いのです。
「俺、サラリーマンなんかじゃなくて、高校の先生になりたかったのになー!女子校っていいよね。」
冗談とは思えない信成さんに私達は顔を見合わせました。
「ノブくんが先生になったら、きっとモテモテだったわね。」
「いいねえ、生徒と先生の禁断の恋も!」
「あら?オコチャマは相手にしないんじゃないの?」
「イイ女なら、年齢に関係無くいつだって恋愛対象だよ。」
「目の前にこんなにイイ女がいるのに、見えていないのは誰かしら?」
ニヤリと笑う信成さんに、なおも友莉は突っかかります。え、やっぱり……友莉は信成さんが好きなのかな?呆気にとられて私は二人の様子を見守りました。
深夜、義臣さんがお帰りになってその日の出来事をお互いにお話しします。とは言っても私が話すことがほとんどです。学校での様子も段々と元通りになったと話すと喜んでくださいました。
「期末テストが終わったら、個人面談があるのです。その時に、進路についても話しあうのですよ。」
「紗菜子は高校を卒業したらどうしたいの?」
「今までは、大学に進学したいと思っていました。でも、もし義臣さんが進学するなと言うならそうします。」
「大学で学びたいことがある?」
「漠然と、会社経営のお勉強をしたいと思っていました、父を手伝うために。」
「紗菜子は自分の代わりに会社経営に携わる婿をとるって発想は無かったんだね。」
「だって……彼氏もいたこと無いのに、お婿さんなんて想像できないですよ!」
「フフ、俺と巡り合ってよかったね。あなたのお父さんの会社は俺に任せておきなさい。これからは赤字になどさせはしないから。」
義臣さんはニコリと笑いました。お勉強が終わるとそのままベッドに連れて行かれ、沢山愛されました。ううっ、明日また眠いのを堪えて授業を受けなくっちゃ……でも、義臣さんの愛撫が気持ち良くて、止めようなんて思えないのです。
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