奥さまは子猫チャン
□第15章 ベビードールで愛されて
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義臣さんと私の結婚を祝う会は、本当に企画されるらしく、都内の超高級レストランを貸し切って、身近なお友達だけをお招きすることになりました。期日は夏休みが始まる前。夏休みになると、バカンスに出掛けてしまうお友達がいるからとの配慮ですが……義臣さんが張り切って、結婚式にお呼びしなかったお友達にも早く私を見せびらかしたいみたいなのです。
「ドレスを用意しよう、紗菜子に似合いのうんと可愛いドレスをね!」
義臣さんはウキウキと誰かに電話をし、何やら予約を取っていました。可愛いドレスって……もしかして、私のお部屋みたいにピンクのフリフリにされてしまうの!?
そして、やってきたのは老舗高級デパートの外商部の岩井さんと言う物腰の柔らかなそれでいてキリッとお仕事をこなす女の方でした。事前に私のスリーサイズは調べられていたので、義臣さんの希望に沿ったドレスを周到に用意してくださっていたのです。
「まあ可愛らしい!奥さまにはとてもお似合いですわ!」
「うん、いいね!紗菜子は色白だから何でも良く似合う!」
岩井さんは誉め上手です。それに答える義臣さんはデレデレとご満悦。次々と可愛らしいフリフリのドレスを着せられた私はどう見ても『馬子にも衣装』なのにー!
「宮嶋さん、ひよりさん、助けてくださいよぉー!」
私はこっそり振り向いて、後ろで肩を寄せ合い笑いをこらえる二人に懇願しましたが、二人とも目も合わせてくれません。
恥ずかしくてたまらない私をよそに義臣さんは嬉々として洋服選びにいそしんでいます。
「いやーん、私の服、そんなに可愛いのばっかり選ばないでくださいよぉ!」
「そうかな?紗菜子にはぴったりじゃないか!あれもこれも似合いそうだ!」
「そんなに沢山、必要ありません!」
「奥さま、これからは夫婦同伴でのお出掛けが増えるのですから、お洋服は何着あっても足りないくらいですのよ!」
岩井さんはコホンと咳をして恭しくそう告げるのです。夫婦、同伴!?この私が、義臣さんの妻として公に晒されるのですね!どうしよう、こんなオコチャマで……
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