奥さまは子猫チャン
□第17章 バカンスは淫らになって
1ページ/5ページ
夏休みになって二週間が過ぎました。私は予備校の夏期講習に毎日通っています。友莉も一緒ですよ。私達の学校は幼稚園から大学までエスカレーター式に上がることも出来ますが、私と友莉は外部の大学を受験しようと以前から考えていました。
夏休みと言えば、受験生にとって正念場です。ここで積み重ねた努力が最後に花を咲かせるのです。机に向かって苦手の古文の問題に頭を悩ませ取り掛っていました。
「さーなーこぉぉぉ……」
力無い呼び掛けにハッと我に返って振り向くと、義臣さんがいつの間にか私の部屋のベッドに腰掛けうなだれていました。
「お帰りなさい、お出迎えもしないですみません!」
「さっきから、いくら呼んでも気づいてくれなかった……」
どんよりと落ち込む義臣さんの横に座り、いつものお帰りのキスをして慰めました。
「今週末に、全国模試があるのです。だからそのお勉強をしていて……」
「紗菜子はやっぱり附属以外の大学に進学するの?」
「は、はい、義臣さんが良ければ……」
「俺が反対する理由は無いよ。紗菜子には沢山人生経験を積んで、楽しんで欲しいと思っているんだ。」
「ありがとうございます。」
膝に置かれた大きな義臣さんの手を私はギュッと握りました。
「だけどその……夏休みはずっと受験勉強をするつもり?」
「えっと、夏期講習でほぼ埋まっています。その他の日は友莉とお勉強する予定です。」
「そうか、一週間くらいバカンスを取ろうかと思っていたんだが。」
寂しそうにうなだれる義臣さんの肩に、私は頬を寄せました。
「一週間は無理だけど、二、三日ならお休み出来ますよ?」
途端に義臣さんは顔を輝かせました。
「では今年の夏は国内の別荘に行こう。海も近いし小さいがプールもついている。紗菜子に白いビキニを着せてみたいんだ。」
「えええっ!」
「ああ、その、ビキニが目的ではないよ?もちろんその間、紗菜子の勉強は俺がみてやろう。」
ニコニコと微笑む義臣さんのメガネの奥の細い目が、またもや妖しく光ります。これはまた、白のビキニで淫らに弄ばれるのでしょうか……
*