奥さまは子猫チャン

□第20章 奥さまデビュー
1ページ/4ページ

文化祭が終わると大学受験へまっしぐら。学内での定期テスト、全国模試、大学別模試、とにかくテストだらけ。私のクラスの半数の子は附属大学に進学するため全体的にのんびりムードなので、受験組はやきもきと焦る心を抑えつつ勉強しています。

そろそろ志望校も固めなくっちゃ……義臣さんは『女子大に』とおっしゃいます。私も敢えて行きたい大学は無いのでその範囲で探していますが、まだはっきりと決められません。友莉は国立大学を目指すのでこの先の進路は別々、それを思うと凄く寂しいのです……

深夜、机に向かっているとカチャリとドアの開く音がしました。

「紗菜子、お勉強は進んでる?」

義臣さんがやってきました。やっとお仕事が落ち着いて、早くお帰りになれるようになった義臣さんを一人にして、今は勉強する時間をいただいています。

ドキッ!手にはドレスを持っています。一体何に使うのでしょう!?

「はい。今日はかなり捗りました。それは何ですか?」

「フフ、着てごらん。」

さらりと拡げられたのは大人びたダークブルーのロングドレスです。

「今度、アレクサンドラ・ブルームの新作パフュームの発表会があって、そのパーティーに夫婦で招待されたのだよ。」

「えええっ!」

『アレクサンドラ・ブルーム』と言うのは世界的にも有名なファッションブランドです。高校生でもかなりの子がここのブランドのお財布を使っているのですよ。

ここのドレスは大人っぽいものが多く私にはまだ早いと思っていたのですが、義臣さんが用意してくれたものはシルクの肌触りが滑らかで、身体のラインがハッキリとするタイトなドレスでした。胸元も大きく開いています。スリットは控えめに入っているけれど、歩くと脚のラインが強調されて……

「義臣さん、これ、セクシー過ぎじゃないですか?」

「いや、とても素敵だ。紗菜子に良く似合っているよ。」

義臣さんのメガネの奥の細い眼は嬉しそうに輝いています。これはもう決まりですね。

「ドレスを着て、私は何をすればいいのでしょう?」

「紗菜子もついに俺の妻として公式の場に出るのだよ。招待客と懇談し、あなたを売り込まなければならないな。」

「私を、売り込む!?」

「大丈夫、そばに俺が居るからね。心配は要らないよ。」

そう言って義臣さんは私の手を取りダンスを始めました。軽やかなステップで私を羽根のように軽々と舞い踊らせます。

「今度のパーティーではダンスが無いのが残念だ。」

「義臣さん、ダンスがお好きなんですね。」

「ああ意外かな?こうやって紗菜子を抱いて踊るのは楽しいな。紗菜子はきっと注目の的だよ。目一杯オシャレして行こう。」

「は、はい……」

うっとりと微笑む義臣さんは私にキスを降らせ、そしてその勢いのままベッドに押し倒しました。さすがにドレスは脱がされて、また気の済むまで愛し尽くされたのです。

ああ、だけど、義臣さんの妻……そんな大役が私に務まるのでしょうか?



*
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ