奥さまは子猫チャン
□第24章 ゆく年くる年
1ページ/3ページ
冬休みになりました。
予備校の冬期講習も、年末の30日からは一休み。年が明けて4日から再開です。義臣さんは28日に仕事納めをされたはずなのに、お仕事が片付かないとまだ毎日出勤されています。
一人でヒマを待て余すのも寂しいので大掃除でもしようかと思ったら、宮嶋さんに止められました。年末の大掃除は専門の清掃業者さんが担当するのだそうです。
「紗菜子さま、このお屋敷には貴重なお品物も多いのです。迂闊に手を出して壊したら、とんでもないことになりますからね!」
「分かりました……」
仕方がありません。桂のお屋敷ではお手伝いをする必要は無さそうです。お部屋に戻って母に電話を掛けました。
「お母さん、大掃除は済んだ?」
「済んでいるはずが無いでしょう!」
そうでした。小笠原の家はお手伝いさんがいるのだけれど、年末年始はお休みなのです。だから大掃除は家族で済ますのでした。
「紗菜子、あなた年末年始は実家に帰って来るの?」
「ごめんなさい、義臣さんにお許しを貰ったら帰るつもりよ。」
「んまあぁっ!結婚してから全然うちに顔も出さないで……義臣さんが帰らせてくれないの?」
「違うわよ!桂のお屋敷に居ると楽しくて、ついこっちに居てしまうだけよ。」
私は母に言い訳をして大みそかに帰る約束をしました。お仕事から戻られた義臣さんに早速報告です。
「明日、実家に帰って大掃除を手伝ってきますね。」
「紗菜子が?なら俺も一緒に行く。」
「そんなぁ!大掃除に行くのですから、義臣さんの手を煩わせることは出来ません!」
「何を言ってるの。俺は小笠原家から見たら娘の婿なんだ。お手伝いぐらいさせていただくよ。だいたい、結婚してから一度しかご挨拶に行っていないからね。薄情な男だと思われたくない。」
私の両親がそんな薄情者なんて思うはずがありません。義臣さんには助けられてばかりなのですから!
「義臣さん、お仕事はいいんですか?」
「うーん?相馬に頼んでみる。」
それからしばらく義臣さんは相馬さんとお電話でギャンギャン言い合いをしていました。言い出したらきかない義臣さんですから、止めても無駄でしょうが……私のせいで、また相馬さんを怒らせてしまうんだわ。
*