奥さまは子猫チャン

□第28章 仲直り
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センター試験が終わりました。私も出願していたので記念受験はしたのですよ。結果は…散々でした、テヘ。

次の日は登校日です。センター試験受験生は自己採点の結果を提出し、最終的な受験校を決定します。

友莉は……学校に来ていました。顔色が悪くて、ピリピリとした緊張感を漂わせていて話し掛けることが出来ません。杏ちゃんや麻実ちゃんも心配そうに遠巻きに様子をうかがっていました。

ホームルームが終わり、お帰りの時間になりました。この先受験がある生徒は残って受験校決定のための面談と書類の提出があります。友莉も当然居残り組、同じ国立大学を目指しているクラス委員の堀内さんと肩を並べて出て行ってしまいました。

「紗菜子、帰ろう。」

杏ちゃんが私の袖を引っ張りました。だけど、このまま友莉と話さなかったら、一生話せない気がします。嫌だそんなの、だって友莉は私の大切な人なのに……

「待って、友莉っ!」

教室を出て行く友莉を追い掛け、やっと捕まえることが出来ました。

振り向いた友莉はくしゃりと顔を歪め、そしてうっすらと微笑んで小さな声で「紗菜子…」って呟いて……友莉が、友莉が……ぽろりと涙を流したのです。友莉が泣くなんて、今までにあったかな?私はその場で固まってしまいました。

「紗菜子、お守りありがとう。ノブくんのと一緒に試験会場に持って行ったわ。御利益(ごりやく)はバッチリだったから。」

友莉は以前と変わらない笑顔で答えました。

「友莉……友莉……良かった!」

彼女の胸に飛び込んで、私もポロポロと泣き出してしまいました。そんな私を抱きしめて、友莉は優しく頭を撫でてくれたのです。

「紗菜子……ごめん、私、あんなに酷いことを言ったのに……心配しているの分かっていたのに、連絡もしなくて……」

「いいの、こうしてまた話が出来たんだもの!」

記憶の中の彼女よりげっそりと痩せ細っていて、独りで受験勉強を頑張っていた姿を思ったらまた泣けてきました。

「友莉、試験どうだった?」

杏ちゃんと麻実ちゃんもやってきました。

「多分、結果は悪く無いと思う。でも本番はこれからだから。」

気丈な笑顔で友莉は答えました。杏ちゃんと麻美ちゃんもホッとしたように喜んで友莉に抱きつきました。

「今日、紗菜子の家に行っていい?話したいことがあるんだ。」

「分かった!手続きが終わるのを待ってるね!中尾さんにもシフォンケーキを作ってもらうね!」

「フフ、ありがとう。」

凛々しく去っていく友莉は、ずっとずっと友達だった彼女に戻っていました。



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