奥さまは子猫チャン
□第30章 サクラサク
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センター試験の結果、友莉は滑り止めの私立大学に合格しました。まずは一安心ですが、本命の国立大学の入試は二月になってから。まだまだこれからです。
真剣に勉強に取り組む友莉の面倒を信成さんがみてくれて、桂のお屋敷にお泊まりする日も多くなってきました。志望大学は信成さんの母校で、出題傾向も似ているんじゃないかとおっしゃっています。私もそばでお勉強をしながら、息抜きに信成さんの大学時代のお話をいっぱい聞きました。ゼミよりもサークルで大活躍って……信成さんらしいです。いかに女の子をナンパしたか……それは言わない方がいいですよー!
額をくっつけ合うくらい近くでテキストを覗きこむ友莉と信成さん……合格して、晴れて大学生になったら、二人はお付き合いするのかな?そして、二人が結婚したら、友莉は私の義理の妹になるんですよ、想像しただけで嬉しくなります!
「凄いな、全問正解だぞ!」
苦手にしていた数Uの問題を全問クリアした友莉の頭を、信成さんはニコニコと笑って撫でました。
「ありがとう、ノブくんのおかげよ!ふぁあ、今日はがんばったわー!さすがに疲れた、お休みー!」
パタンとノートを閉じて、友莉は客室に消えて行きました。
「友莉の成績は合格圏内まで戻りましたね。信成さんの教え方がいいんですよ。」
「もともと出来る子だから、よそ見しなけりゃ楽勝なんだ。」
くしゃりと顔をほころばせ、信成さんは友莉のノートを見直していました。やっぱり、拓真さんのことが無くなって、目標に正面から向かっていけるようになったのが良かったのですね……
「信成、こんな時間まで紗菜子と何をしているんだ。」
いつものように午前様になってお帰りになった義臣さんは、リビングにいた私達を見つけ、不機嫌そうに口をへの字に曲げました。
「ったく、勉強していたに決まっているじゃないか。今まで友莉も居たんだよ。」
信成さんも言い返します。もう、義臣さんったらすぐにヤキモチを妬くんだから。
「お前、最近毎日のように仕事をほったらかして早く帰るそうだな。相馬のところに、秘書の山本から泣きが入っているらしいぞ。友莉の面倒をみるのもいいが、仕事もちゃんとやれよ。」
「はいはい、だけど俺の仕事なんて、そんなに重要じゃないだろ。」
「父さんが、お前をアメリカに寄越せと言っているんだ。そろそろ父さんの代わりに現地法人の代表取締役を任せたいそうだ。」
「……俺は、親父や兄貴みたいに、真面目に仕事一筋になれる男じゃないぜ?」
「信成、いい加減、本気を出したらどうだ。」
「本気も何も、俺はお気楽な御曹司のままでいいんだよ。」
クククと笑いながら、信成さんも部屋を出て行きました。
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