奥さまは子猫チャン
□第13章 大丈夫です
2ページ/3ページ
下校時間になり、友莉と並んで帰りました。校門を出たら田中さんの車が待っているので、それまでにはいつもの元気な私に戻らなくては。田中さんも心配性ですからね。
「ねえ、今から紗菜子の家に行っていい?期末の勉強をしようよ!」
「うん!やろうやろう!」
ホッとしました。友莉と一緒なら無理をする必要は無いもの。
「お帰りなさいませ、紗菜子さま。今日はお友達とご一緒ですか?」
「はい!家で一緒にテスト勉強をするのです。」
「松藤友莉です。紗菜子とは幼稚園の頃からお友達なんですよ。」
「それは仲の良いことですね!紗菜子さま、今日はお顔の色がよろしくて何よりです。」
田中さんは笑顔を見せて私達を車に乗せ、いつもより安心したように楽しそうにお喋りしました。やっぱり気付いていたのかな、私が元気ないって……
田中さんの運転する車で、私達は桂のお屋敷に帰って来ました。
「やっと友莉をウチに呼べたね。」
「うん、楽しみにしてたんだー!実は、小さい頃にも桂のお屋敷に来たことがあるのよ。」
「おかえりなさいませ、紗菜子さま。」
執事の大森さんが恭しく玄関のドアを開けてくれました。
「いらっしゃいませ、松藤さま。田中から伺っております。ごゆっくりお過ごしくださいね。」
「ありがとうございます、お邪魔します!」
「ただいまー!」
「おかえりなさいませ、紗菜子さまぁ!」
パタパタとひよりさんが寄って来て、私から荷物をすかさず取り上げます。
「ひよりさんってば、片付けくらい自分で出来ます!」
「ダメですー!私のお仕事ですから!紗菜子さまは早くお友達とお部屋でゆっくりなさってください!」
「いらっしゃいませ、まあ、松藤のお嬢さま、お綺麗になられましたね!」
ひよりさんのあとから宮嶋さんもやって来ました。
「お久しぶりです。ここに来たのは小学生の頃でしたよね?私の紗菜子がお世話になっています。この子、とっても好い子でしょ?」
「ええ、お優しくてしっかり者で、あの義臣さまがベタ惚れですわ。」
宮嶋さんを交えてひとしきりお喋りをしたあと、私個人のお部屋になっている、ピンク色のフリル満載のお部屋に友莉を通すと、彼女は呆れて唸りました。
「うわー、これはずいぶん可愛らしいわね……義臣くんの趣味?」
「私のイメージだって、揃えたそうよ。」
「義臣くんから見た紗菜子って、こんなラブリーなイメージなんだぁ。体育祭の時もイチャイチャしまくりだったものね!」
「それを言わないでぇー!みんなが見ている前でいきなりキスしようとするから焦ったわ。」
ケタケタとお腹を抱えて笑っていると、宮嶋さんがコック長の中尾さんお手製の紅茶のシフォンケーキとアイスレモネードを持ってきてくれました。
「美味しい!」と頬張りました。美味し過ぎてなんだか涙が出そう!
*