奥さまは子猫チャン

□第14章 私が保護責任者ですが何か?
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期末テストの成績はいっぱい勉強したおかげでいつもより上位に入りました。義臣さんや信成さんにお礼をしなくっちゃ!

答案返却日から終業式の間に追試や個人面談が組まれています。面談時間になって面談室の前に行くと、一緒に受けることになっていた母が来ていません。

「小笠原、今日はお母さんも来る予定だよな?」

「はいそうです。どうしたのかな、まさか忘れているんじゃ。」

キョロキョロと辺りを見回しましたが、母の姿はありません。先生にお断りして携帯電話を取り出し、母に連絡をしようとしたその時です。

「お待たせしました。」

「ひゃ?」

驚いて振り向きました。だってその声は義臣さんだったのですよ!毛利先生も驚いています。

「え、桂さん、どうしてここへ?」

「紗菜子の保護責任者は、この私ですが何か問題でも?面談も、もちろん私が受けますよ。」

「え、お仕事は?」

「大丈夫だよ、ここに来る前に済ませて来たから。」

そして自ら面談室に入りドカリと椅子に座りました。

「では、桂さんも交えて、紗菜子さんの進路について話し合いましょう。紗菜子さんからは志望大学が出ていますが、えっと、保護者の方からのご希望はありますか?」

毛利先生も戸惑いながら資料を見せて説明しました。

「私の希望は、もちろん紗菜子が自ら選び進もうとする大学に入学することですが……私個人の意見を言わせてもらえれば、出来れば女子大に進んで欲しい。チャラチャラしたところでは無く、しっかり勉強し精進して、桂家の当主の妻として申し分の無いよう教養を身につけて……大学に入学後合コンなどもってのほかです。そうだ、法学、経済学も学んで欲しいが、海外での事業の際にパートナーとして私をサポートしてくれると助かるな。そのためには語学も勉強してもらいたい。英語はもちろんフランス語、ドイツ語、イタリア語、スペイン語に中国語……ああ、詰め込み過ぎも良く無いな。時間を掛けて私と共に学んで行こう。社交ダンスも覚えて欲しいね。ドレスに身を包み、私の腕にしなだれて舞うように踊るあなたはどんなに可愛いだろう……」

義臣さんはうっとりと私の未来を語り続けます。女子大?語学の勉強?社交ダンス?え、そんな話、今まで聞いていなかったのにーっ!

「桂さんのご希望は了解しました。学校側でも全力で紗菜子さんを支えて行きますよ。」

「よろしくお願いします。」

義臣さんは深々と呆れかえる毛利先生に頭を下げ、満足したように私に微笑みかけました。



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