奥さまは子猫チャン

□第15章 ベビードールで愛されて
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「義臣さま、あまり可愛らしいお洋服ばかりでは紗菜子さまの人格が疑われます。もう少しシックなお洋服もお選びになってはいかがですか?」

「それもそうだな。宮嶋、小宮山、二人とも意見を聞かせてくれ。」

「承知しました。さあ、紗菜子さま、今のうち、お好きな服をお選びください!」

「は、はい!」

さすが宮嶋さん、義臣さんのへそを曲げないように私の意見を取り入れてくれるようです!私達は少しでもまともな服になるようにあれこれと議論を交わしました。

ふと見ると、岩井さんが何やら怪しげなものを取り出し、義臣さんの目の前で熱弁を振るっています。

「それは……一体何ですか?」

「まあ奥さまったら、これはベビードールですわ。世の男性を悩殺するランジェリーですの。」

「の、悩殺、ですかぁぁぁ!?」

私は岩井さんの掲げるものを凝視してまた冷や汗を掻きました。え、それ、どこがランジェリーなんですか?向こうが透けて見えてますよ?て言うか、下着の布が少なすぎじゃない?それじゃあ隠す部分も無いでしょう!?

「うん、きっと似合うよ!早速いただこうか!」

「桂さま、これもいかがですか?」

「いいですねー!」

岩井さんは更にガーターベルトのついたものなんかも取り出しています。もうもう!義臣さんはメガネの奥の細い目を妖しく輝かせて……えええっ、それ、本気で私に着せるおつもりですかぁ!?

「義臣さまってコスプレ趣味なのかしら?この前は、紗菜子さまにチアリーダーの格好をさせてお楽しみでしたもの。」

「ひ、ひよりさん、うっ、それは思い出さないでー!」

にんまり笑うひよりさんの口を慌てて押さえました。体育祭のあと『ご褒美をください』と言われ、チアリーダーの衣装を身に着けて弄ばれていたところを、ひよりさんに目撃されてしまったのです!

「さすが、老舗『タカマツヤ』のトップバイヤーですわ。義臣さまの趣味嗜好を完全に押さえていらっしゃる。奥さまにはいくらでもお金を掛けると見越して、あれやこれやと畳みかけて来ますわ。」

「宮嶋さん、感心していないで義臣さんの暴走を止めてください!」

「いいえ、あんなに楽しそうにされている義臣坊ちゃんを、このワタクシごときが止めることは出来ませんわ。」

ああ、宮嶋さんもあてにならないなんて……私の夜の生活はどうなってしまうのでしょう!



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