奥さまは子猫チャン
□第20章 奥さまデビュー
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「相馬、紗菜子をいじめてはいないか?」
部屋の外で様子を伺っていたらしい義臣さんがムッと顔をしかめていました。
「社長、だったら自分で説明すればいいでしょ?俺は時間外労働させられているんですよ。」
「仕方が無いだろう、俺が説明したら余計なことばかり言いそうだからな。」
「例えば、アレクサンドラの御曹司はプレイボーイだから気を付けろってことですね。」
「こんなに可愛い紗菜子を、野獣どもが放っておく訳が無いだろう?」
「ククク、奥さまがその辺のマダムどもより可愛いのは認めますよ。」
「亮介、俺の紗菜子に色目を使う気か!」
「そんなに心配なら屋敷に閉じ込めておけばいいでしょ?」
相馬さんがからかうと、本気にした義臣さんが私を隠すようにギュッと胸にしまいこみました。そんなに強く抱かれたらキュンとなってしまいます。義臣さんの熱い吐息が私の身体を揺さぶります。
「義臣さん、私に出来る限り、お役に立てるようにがんばります。それから他の男性には見向きもしませんから!」
「奥さま、それじゃあ困るんです。ちゃんと愛想良くしてくださいよ。」
「は、はい、分かりました。」
考えるだけで緊張します!だけど、義臣さんを信じてついて行くだけです。
パーティーの日がやって来ました。大きなリムジンに乗って会場に向かいます。ドキドキと身体が震えて来ます。
「紗菜子。」
こんな経験は当たり前の義臣さんは平然と横で長い脚を組んでいます。私は息が止まりそうなのに!
「フフ、そんなに怖い顔をするな。」
「だってぇー!」
「ほら、落ち着いて。舌を出してごらん。」
「えっ?」
戸惑う間もなく、義臣さんは私の顎を掴んでキュッと力を込めました。ハッとして口を開けるとその中に温かいものが……義臣さんの舌が私の舌に絡みつきます。クチュクチュと弄ばれ身体はいつもの愛撫を思い出し熱く疼いてしまいました。
「可愛い顔になった。続きは今夜までお預けだ。」
最後にチュッと頬に口づけをすると、車がちょうど到着しました。
先に降りた義臣さんがニコリと微笑み私に手を差し出します。その手に従って車を降りた途端、目が眩むほどのフラッシュライトを浴びせられました。沢山の報道関係者が義臣さんと私の姿をカメラに収めています。義臣さんは私の背中に手を回し寄り添って、カメラに向かってポーズを取りました。
「紗菜子、さあ行こう。」
「はい。」
凛と引き締まった義臣さんの横顔に思わず見惚れてしまいました。腰に手を回して私を抱きかかえるように歩きます。ドキドキと高鳴る鼓動も義臣さんがいるから徐々に収まって来ました。
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