奥さまは子猫チャン
□第33章 子供じゃありません
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小振りの旅行バックを抱えて、友莉は桂のお屋敷にやってきました。大森さんや宮嶋さんがお出迎えしてくれて、友莉の荷物を持ち部屋まで案内してくれました。
「友莉さま、お変わりなくて何よりですわ。」
「すっかりご無沙汰していました。卒業するのが名残惜しくて、お友達と遊び回っていたのです。」
「友莉は人気者だから、忙しいんですよ。」
「まあそうでございますか。お暇になったらまた前のように遊びにいらしてくださいな。」
ひよりさんが友莉の好きなシフォンケーキを運んできて、まずはお茶をしました。
「ノブくん、いつ帰ってくるの?」
「お仕事が終わり次第って言っていたわ。あまり遅くならないといいね。」
「う、うん…」
なぜか友莉が緊張しています。信成さんは今夜、何を明かされるのでしょうか、気になります。
お夕食をいただいていたら、大森さんが慌ただしく食堂に飛び込んで来ました。
「紗菜子さま、旦那さまがお帰りです。」
「え、もう?」
「聞いていらっしゃらなかったのですか?ではやはり急な予定変更ですね。」
食事は途中にして、私も友莉と一緒に玄関へお出迎えに行きました。
「ただいま。」
素知らぬ振りで義臣さんは私の頬にチュッとキスをしました。だけど、私は硬直してしまいました。だって、義臣さんの後ろに拓真さんがいたのです。
「お邪魔だったかな?久しぶりにヨッシーに連絡したら、ノブが君達に重大発表をするって言うから、ついでに俺も話を聞こうと思ってね。」
拓真さんは悪びれもせず美麗な笑顔を浮かべました。
「いいえ!信成さんはまだお帰りじゃないんです。」
「知っている、さっき早く帰るようにと伝えてきたよ。」
義臣さんと拓真さんは揃って食堂に向かい、私と友莉もそのあとに続きました。お二人で軽い食事を召し上がりながら和やかにお話しされていました。
どうしよう、信成さんに本心を伺うチャンスがまた潰れてしまいそうです。
拓真さんは何事も無く、友莉ともお喋りをしていました。友莉も……普段と変わりない様子です。
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