奥さまは子猫チャン
□第36章 バトル勃発
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その夜、私は友莉に連れられて都内のホテルにやって来ました。招待客ばかりだという会場は、お母さまと連れ立った私達くらいの若い女の子から、旦那さまと同伴の妙齢の奥さま方まで、熱気でムンムンしています。市場の半値くらいで販売するそうなのでみんなの目の色が違うのですよ。
パーティーを主催する甘利さんは、友莉のお母さまの元モデル仲間で独身、自らアパレル関係の会社を経営されているそうです。抜群のプロポーションとゴージャスなお化粧やお洋服の良く似合う素敵な方でした。
「いらっしゃいませ。桂さまの奥さまにご来店いただけるなんて光栄ですわ。これからもご贔屓にお願いしますね。」
「そんな!今日は突然押し掛けてしまってすみません。」
「まあ、紗菜子ちゃんも大人の仲間入りってところかしら?」
「友莉ママ、今日はお付き合いで来ただけで、義臣さんがいらっしゃらないからお買い物はしないつもりです。」
「いいわよー!目の保養をして行って!」
「行こうよ紗菜子、きっと似合うドレスがあるわ。」
友莉は早速新作ドレスの展示会場に私を連れて行きました。
「わああああ!」
可愛いドレスにも目が行きますが、友莉がよく着ているような胸元が大きく開いてスリットの入った大人っぽいドレスにも心魅かれます。
「紗菜子ちゃん、これなんかどう?」
初夏を思わせるミントグリーンのドレスを選び、友莉ママが私にあてがうと、友莉や甘利さんが「素敵!」と絶賛してくれました。
「紗菜子さんは色白だから何でも似合うわねぇ。これもいかがかしら?」
甘利さんが手にしたスミレ色のドレスもふんわりとした素材なのにボディラインを強調してとてもセクシーです。
「紗菜子、着てみて、きっと似合うわよ!」
勧められるままに何点か試着しました。
「どれも素敵!……でも義臣さん、気に入るかな?」
「ヨシくんの好みに合わせること無いわよ。もっと自分らしさを出して行かないと!」
「だけど、キレイに着飾った時に義臣さんがトロンとした目で私を見つめるのが好きなの……」
「あーそうですかーご馳走さま!紗菜子ったらノロケちゃって。」
友莉はまた次々とドレスを選び、私に着せたり自分が着てみたりしました。
突然、友莉のお母さまがパタパタと走って来ました。
「紗菜子ちゃん、旦那さまがお見えよ!」
「えっ!」
驚いて振り向くと、義臣さんが憮然として私を見おろしていました。
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