山田センパイ

□第3章 ライバル登場!
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「行ってきまーす。」

小さい頃からの癖で玄関に備え付けられた小さな鏡を覗き込みながら相澤翔平はドアノブに手を掛けた。

「こらっ翔平!お弁当忘れてる!」

姉の紗希が呼び止めた。

「だからぁ!弁当は要らないって言ったじゃん!」

翔平はプクッと頬を膨らませた。

「外食ばっかりしないで、節約の為にもお弁当を持って行きなさいよ!」

「いいんだよ、センパイとメシ喰うんだから。」

「お母さーん!翔平がお弁当を持って行かないっ!」

紗希は台所の母に向かって訴えた。

「翔ちゃん、お姉ちゃんがせっかく早起きして作ってくれたんだから持って行きなさいよ。」

母がチラリと顔をのぞかせた。

「分かったよ。」

ぶつぶつ文句を言いながら、翔平は紗希から弁当の入った袋を受け取った。

「今日もちゃんと家に帰って来なさいよ。」

「分かんない。仕事が忙しいんだから。」

「どこに泊まっているのよ。」

「会社の近くに住んでるセンパイの家。」

「このところ泊まってばっかりじゃない。」

「しょうがねーだろ。残業で終電に間に合わないんだから。」



姉の追求に翔平はうんざりした。



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