山田センパイ

□第7章 一緒にいる人
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染谷理は美弥子をチラリと見た。

彼女は表情を固くしていた。

「父さん、いきなり俺の嫁になれなんて失礼だろ。美弥子の気持ちも考えてやれよ。」

「いやすまなかった。美弥子ちゃんに逢えたのが嬉しくてつい…」

理の父はほんわかと人の好い笑顔で頭を掻いた。

「だけど美弥子ちゃん、私は君が理と結婚してくれたらと、ずっと前から願っていたんだよ。」

「わ……私は……」

美弥子は両手で胸元を掴んで身を縮めた。

「今、誰か好きな人はいるのかい?」



「…………いえ……いません。」



翔平はじっと美弥子を見つめた。

彼女が目を合わせることは無かった。



「なんだ染谷さん!やっぱり現場にいるんですか!」

営業一部の島津部長と人事部の平田部長がやってきた。

「染谷さんは役員室にいてくださいよ。」

「いやどうもこっちの方が居心地が良くて…」

「ダメダメ!戻ってください。相談したいこともあるんです。」



理が運んだばかりの荷物を島津が持ち、平田が染谷の背中を押した。

「美弥子ちゃん、いきなりで悪かった。今度またゆっくり話そうね。」

ニコニコと笑いながら染谷は事務所を出て行った。



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