山田センパイ

□第9章 攻めるが勝ち
1ページ/12ページ


木曜日午前8時31分。

「おはよー!」

シホがやってきた。

「おはようございます。」

営業総務部のデスクでマナミがニコリと出迎えた。

「あら、山田さんは?」

斜め向かいの空いた席を見て、シホは尋ねた。

「もう来てるわよ。」

後ろから来たエリカが言った。

なぜか空のコーヒーカップを持っていた。

不思議に思いながらも荷物を置き、シホはカップを取り出した。

「コーヒーは今無理かもね。」

エリカはクスクスと笑った。

「どういうこと?」

小首を傾げ、シホは給湯室に向かった。



ドアノブに手を掛けたが回らない。

「なんで?鍵?」

シホはトントンとノックした。

返事は無い。

「誰なの!なんで鍵掛けてるの!」

ガチャガチャとドアを揺すった。

「す、すみません!」

ガチャリとドアが開き、中から相澤翔平が赤い顔を少しだけのぞかせた。

「相澤?何してるのよ。」

「ちょ、ちょっと待ってください!あっ、コーヒーなら俺があとで持って行きますからっ!」

「だーかーらーここで何してるのよっ!」

焦る翔平の隙をつき、シホはドアをガッと開けた。



*
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ