山田センパイ
□第9章 攻めるが勝ち
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木曜日午前8時31分。
「おはよー!」
シホがやってきた。
「おはようございます。」
営業総務部のデスクでマナミがニコリと出迎えた。
「あら、山田さんは?」
斜め向かいの空いた席を見て、シホは尋ねた。
「もう来てるわよ。」
後ろから来たエリカが言った。
なぜか空のコーヒーカップを持っていた。
不思議に思いながらも荷物を置き、シホはカップを取り出した。
「コーヒーは今無理かもね。」
エリカはクスクスと笑った。
「どういうこと?」
小首を傾げ、シホは給湯室に向かった。
ドアノブに手を掛けたが回らない。
「なんで?鍵?」
シホはトントンとノックした。
返事は無い。
「誰なの!なんで鍵掛けてるの!」
ガチャガチャとドアを揺すった。
「す、すみません!」
ガチャリとドアが開き、中から相澤翔平が赤い顔を少しだけのぞかせた。
「相澤?何してるのよ。」
「ちょ、ちょっと待ってください!あっ、コーヒーなら俺があとで持って行きますからっ!」
「だーかーらーここで何してるのよっ!」
焦る翔平の隙をつき、シホはドアをガッと開けた。
*