山田センパイ

□第10章 そのままの君がいい
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約束の20分前に店に着いた川崎は、展示してあるメガネを次々と掛けてみた。

どれも流行りのスタイリッシュなフレームだ。

鏡に映る自分を見てため息を吐いた。

「に、似合わない…」



シホの言葉をきっかけに、イメチェンを図ることにした。

しかし独りで決める自信は無い。

日曜日に相澤翔平が付き合うと言った。

その日、彼は地元の友達とフットサルの試合に出る約束があり、その後で買い物することになった。

「相澤、早く来ないかな。どれが似合うか分からないよ…」

生まれて28年お洒落には縁の無い川崎は狼狽えていた。



「川崎さん、お待たせしました!」

いつものスーツ姿とは正反対の、今どきの若者らしい流行りのカジュアルな服装で翔平が現れた。

「さすが相澤。」

川崎はまたため息を吐いた。

隣りには、これもいつもとは正反対の可愛らしいワンピースを着た山田美弥子が寄り添っていた。

「山田さん、見違えますね!可愛いです!」

川崎は心から誉めちぎった。

「相澤に無理やり着せられたんだ…」

普段のキリリとした彼女からは想像つかないほど、美弥子はもじもじと照れまくった。



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