天狼の彼方
□第5章 狩人達
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いつもの癖で玄関に行き、新聞受けを開けた。
新聞は持ち去られたあとだった。
「あーそうだった。」
頭を掻きながらトイレに向かうと、鍵が閉まっていた。
「父さん、トイレで新聞読むのは辞めてよ。」
「すぐに出るよ。」
野太い声で父が答えた。
朝食の支度をしに台所に向かった。
妹の里緒菜が肩にバスタオルを掛け、パンツ一枚の姿で1リットル入りの牛乳パックを傾け、ゴクゴクと飲んでいた。
「リオ!風呂上がりだからって裸でウロウロするなっ!」
「だって熱いんだもの。」
兄の激怒など気にもとめず、里緒菜は牛乳を飲み続けた。
「俺がやったバスローブはどうした?」
「趣味じゃないわ。」
「それから、牛乳パックに直接口を付けて飲むなと言ってるだろ!」
「私が全部飲むからイイわよ。」
飲み干すと、口の周りを手でぐいと拭った。
不破群青はうんざりした。
「リオのナイスボディは牛乳のおかげだな。」
父である不破海聖がやってきた。
「パパ、それセクハラよ!」
「違うだろ!」
イライラとしながら、群青はコーヒーを淹れた。
「兄貴、目玉焼きは半熟にしてね。」
*