天狼の彼方
□第9章 初恋
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勉強机に苦手な物理の宿題を広げ、瑤はぼんやりとしていた。
携帯にメールが届いた。
隆也からだった。
数日前電話をしてから、急にメールが来るようになった。
内容は瑤への気遣いと蓮の話がほとんどだ。
隆也のことは、蓮の友達だと言う以外、何も知らない。
卒業式の日、蓮に想いを告げるため意を決して教室に行った。
しかし、彼は無数の女子に取り囲まれていた。
美しく派手で目立つ女の子ばかり…
がっかりし、戻ろうとした時に、隆也が慰めの言葉を掛けてくれた。
それが嬉しくてついメアドを交換した。
届いたばかりのメールには、ケーキを頬張る蓮の写真が添付されていた。
蓮にチーズケーキを作ってもらい、一緒に食べたという…
横には多分真悠だろう女の子と見知らぬ美女も写っていた。
「いいな…」
思わず声に出た。
返信に困っていると、別のメールが届いた。
「あっ!」
今度は蓮からだった。
―――今、電話してもいい?
瑤は目を疑った。
幼なじみとは言え、電話やメールを頻繁にするような仲では無かった。
ドキドキと胸を高鳴らせ、瑤は発信ボタンを押した。
*