天狼の彼方
□第12章 苦い蜜
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忙しい群青のわずかな余裕をみて、蓮のマンションに集まり食事会を開いた。
真悠と隆也はケンカ中らしく誘いを断られた。
「リオが料理をするなんて!」
蓮に助けられ作った里緒菜の料理に、群青は感激の涙を流した。
「美味しーい!リオったら、いつの間にこんなに上手になったの?」
華蓮も次々に頬ばり褒め称えた。
「全部レンが教えてくれたのよ!」
里緒菜は嬉しそうに顔を赤らめ、横に座る蓮にすり寄った。
食事が終わり、後片付けを始めると群青が立ち上がった。
「俺も手伝うよ。」
「ゆっくりしてくださいよ。全然休みが無いってリオから聞いてます。」
「グンちゃん、私が手伝うわ。たまにはリオとゆっくりして。」
華蓮が皿を運んだ。
「じゃあ任せるよ。」
群青は里緒菜と目を合わせ微笑んだ。
台所に食器を運び終えると、華蓮の携帯電話が鳴った。
「あっ…」
華蓮が赤くなった。
「彼氏?」
さり気なく蓮が尋ねると、華蓮はうなずいた。
「洗い物は俺がやるから、電話に出なよ。」
「ありがとう!」
華蓮は「もしもし」と答えて台所を出て行った。
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