天狼の彼方
□第13章 甘い罠
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私、レンに告られた…?
華蓮は呆然とした。
しかし、その後の蓮は、まるで告白など夢だったかのようにいつもの彼に戻った。
駅弁を食べ、おしゃべりし、ツーショットの写真をメールで里緒菜に送り、笑い合って列車の中を過ごした。
最寄り駅までの最終列車は出たあとだった。
夜遅く、母の柚子葉がターミナル駅まで息子達を車で迎えに来た。
「おかえり蓮。」
そう言った後、隣りにいた華蓮を見て、彼女は呆気に取られた。
「アンタって子は、帰ってくるたび違う女の子連れてきて!」
思い切り眉をしかめた。
「母さん、カレンはリオの従姉だよ。」
疑わしそうに柚子葉は息子をにらんだ。
山道を抜け、大きな街中を通り過ぎ、蓮の実家である高塔の屋敷に着いた。
「蓮、おかえり!」
彬従と恭花が出迎え、蓮に飛びついた。
「あれ、リオちゃんは?」
「明日来るよ。始発に乗って午前中には着くんじゃない?」
クスクスと蓮は笑った。
華蓮はドキリとした。
恋人にそっくりの少年から目を逸らした。
そうだ……お母さんの違う弟さんがいたんだ…
まさかこの家にいるなんて…
*