天狼の彼方
□第15章 蠢く竜
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正月三日が明けるとすぐ、彬従は部活に集中した。
中学最後の年、蓮達の世代が残した記録を上回ることが彼と健都の目標だった。
「絶対、全国大会に行ってみせる!」
部員達は気持ちを一つに練習に励んでいた。
「スクリーン使って!声出して!」
蓮はパンパンと手を叩いた。
OBとして後輩達を指導しに来たのだ。
同級生で、大学でもバスケを続けている岡田も誘った。
必死にボールを追う後輩達の姿を見て、中学時代を懐かしく思い出した。
「お前の弟、シュートタッチがいいな!」
彬従を誉められ、蓮は喜んだ。
「得点力は蓮よりあるぞ。」
顧問の館山もニコニコした。
「だから練習に付き合えって言ったのか。」
クスクスと蓮は笑った。
普段の甘えん坊な姿は無く、彬従は真剣に練習に取り組んでいた。
「先輩、ありがとうございました!」
練習が終わり、部員達は蓮と岡田を囲んだ。
「ガンバレよ。応援してるから。」
「もう髪は赤くするなよ。」
蓮にからかわれ、彬従は仲間とじゃれ合った。
後片付けの間、蓮と岡田は館山と思い出話に興じていた。
「アキ…」
彬従は佐和に声を掛けられた。
*