天狼の彼方
□第16章 綻び
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新学期になって、数日が過ぎた。
昼休み、教室の片隅で数名の女子が固まりおしゃべりしていた。
「……って……援交……」
キャハハハと高い声があがる。
ちらちら覗き見て、女の子達が嗤う。
自分が話題の人になっているのを知り、恭花は暗くうつむいた。
今まで友達だった子が急に無視するようになった。
話をしたことも無い子がいきなり馴れ馴れしく話しかけて来るようになった。
周りの突然の変貌に恭花は悲しく戸惑った。
「恭花…」
ポンと肩を叩かれた。
佐和と健都が心配そうに見つめていた。
「気にしない方がいいよ。」
励ますように佐和はニコリと微笑んだ。
「ハルナに話をするな。アイツ面白がってみんなに言いふらすから。」
健都は怒っていた。
この二人は以前と少しも変わらない…
大切な友達だ…
恭花は涙を堪えた。
放課後、隣りの教室を覗いた。
彬従が女の子達に囲まれていた。
「どうしたの、アキに用事?」
佐和が恭花を見つけてそばに来た。
「アキに逢いに来た訳じゃないわ…」
「今モテモテだから近づけないのよ。」
アハハと明るく佐和が笑った。
*