天狼の彼方
□第18章 信頼
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「ねぇ私の家に来て。兄貴が出張でいないの。」
里緒菜は迫った。
「ダメ。」
蓮は即答した。
「群青さんの居る時じゃなきゃ行かない。」
「なら、レンの家に行こうよ。」
「今、親父が家に居るから泊められない。」
渋谷のカフェテラスで言い合いをした。
久しぶりに逢った途端、里緒菜の話題は一点に集中した。
「じゃあホテルは?」
「俺はリオとそう言う関係になる気はない。」
「この前はイイところまで行ったでしょ!」
「あれはちょっとした気の迷いだ。もうしないから。」
里緒菜はムーッと口を尖らせた。
「大体、俺に絡まないで友達と遊べよ。」
「春休みになって、みんなバイトしたり帰省してるの。」
「マユは?」
「隆也と別れてから他の人とデートが忙しくて、全然逢ってないわ。」
知らなかった…
相手は誰だろうと蓮は考えた。
「カレンは?」
さり気なく蓮は尋ねた。
里緒菜は眉を寄せた。
「試験が終わってから、彼の家に行ったきりなの…」
怒りに震えている…
「兄貴の方が絶対イイ男なのに!」
「群青さんがイイ男なのは認めるよ。」
*