天狼の彼方
□第20章 攻防
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練習が終わり、用具を片付けようと恭花はボールを手にした。
「恭花さん、手伝いますよ!」
一年生の翔太と大智がやってきた。
「ありがとう!」
ニコリと恭花が微笑むと、二人はデレデレと顔を赤らめた。
「全く!恭花がマネージャーになった途端、みんな働き者になったわね!」
佐和が後輩達をからかった。
「佐和さんの時だって俺ら手伝ってましたけど?」
翔太は悪びれずに言い返した。
「お前が手伝っているのなんて見たこと無いぞ。」
そばにいた健都も呆れた。
「恭花、ちょっと来て!」
練習の記録ノートを持って彬従が彼女を呼んだ。
「はーい!」
パタパタと嬉しそうに走り寄り、恭花は彬従の話を聞いた。
「あれ、佐和の仕事じゃん。いいの?」
健都が気にして尋ねた。
「スコア付けとかは恭花にやってもらった方がバスケのことも覚えるでしょ?」
佐和はニコリと返事をしたが、内心は健都に見抜かれている気がした。
彬従と語り合う貴重な時間が無くなってしまった…
だが恭花の方がアキも喜ぶだろう…
しかし、しょんぼりと落ち込んで恭花が戻ってきた。
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