不機嫌なドルチェ

□第4章 ルレ・マロン
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焼けつくような夏の暑さも収まって、すっかり涼しくなりました。

赤いレンガの洋館の二階奥、商品企画室のお洒落なガラス窓からすっきり晴れた空を見上げていました。

「何をぼけーっとしてるんだ?」

御曹司のお帰りです。

「いい天気ですねー秋晴れですねー。」

「ありんこはいつも平和だな。」

クスリとしながらデスクに座りました。

「これからは『イモ・クリ・カボチャ』の季節です。食べ物が美味しくなりますよ!」

御曹司はプッと吹き出しました。

「お前は年中美味しい季節だろ?」

「確かに!」

もうバレバレですね!



しかしこの状況、ドキドキです。

実は、事務所に御曹司と二人きり…

御曹司もキョロキョロと落ち着きません。

「瑛太は?」

「本社で通販向けの新商品の打ち合わせです。」

「和香は?」

「フミさんのお手伝いで、和栗の渋皮煮の仕込みだそうです。私もお手伝いしましょうかと言ったら、フミさんに断られました。」

「ああ、気にすんな。アイツ、イベント準備はいつも他の奴に手を出させないからな。」

「そうなんですか。」

私がホッとすると、御曹司もニコリとしました。



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