不機嫌なドルチェ
□第7章 ラブ・バレンタイン
1ページ/8ページ
街中にチョコレートが溢れかえる季節になりました!
去年までは友チョコや義理チョコ作りに全力を注いでいたけれども、今年は違います。
今年こそは、本命チョコを作りたいと思います!
その相手は…えっと、そのぉ…
「ありんこ、悩み事でもあるのか?顔が歪んでいるぞ!」
『パティスリー・ジュリエット』のキッチンで次のイベントの試作に励む史信さんに、いつものようにからかわれました。
「乙女の悩みですから!」
ブヒャヒャとイケメン顔も台無しに王子様が笑います。
「何だよ、俺に相談してみなさい!」
「それなら師匠!美味しいチョコの作り方を教えてください。」
「いいけど高いよ?俺の授業料。」
「そんなこと言わずにタダでお願いします!」
「つーか、俺はショコラティエじゃないからチョコ菓子は専門外なのだよ。」
「はっ!それもそうですね…」
「そんなに張り切って、誰に渡すつもり?」
「うっ!」
「もしかして、そーちゃん?」
「ひゃっ!」
「図星か?」
「違いますよぉ!お世話になっている皆さまにせめて手作りチョコでお返ししようと思ったんです!」
もっともらしい言い訳はやはり通じません。
*